【ブログ紹介】
■大学芋はなんで「大学芋」という名前?「大学」+「芋」=「大学芋」と単純にはいえない。そう考えると、ことばには不思議がいっぱい。「大学芋」をきっかけにことばについて考えるブログです!
■はじめての方はこちらへ

2015年05月15日

東大五月祭で言語学喫茶やります!

5月16日、17日の土日に、東京大学本郷キャンパスで五月祭が行われます。私の所属する言語学研究室では言語学喫茶を出店することになりました!ちなみに、言語学研究室とは、文学部の言語学専修課程と大学院人文社会系研究科の言語学専門分野をひとまとめにしたものです。こちらは、言語学研究室のキャラクターLinguistくん(顔がアルファベットでできています)。
Linguist.jpg

2015年度第88回東京大学五月祭
■言語学喫茶■

日にち:5月16日(土)・17日(日)
場所:法文1号館(西)3階文316
時間:終日
地図など詳しくはこちら

言語学喫茶では、モルスというロシアのベリージュースなど、海外の珍しい食べ物や飲み物を提供する一方、いろんな言語のあいさつを紹介したり、言語学がどんなものか、学生はどんな研究をしているのかなどをポスターにして展示します。ポスターは言語や言語学について素朴な疑問に答えるものから、本格的な研究紹介まであります。言語学研究室では、扱う言語も研究方法もさまざまですが、それぞれがどんなことをしていて、どんなところをおもしろく思っているのか、伝わればいいなと思います。以下の9つのポスターがあります。

●言語学ってそもそも何なの?
●6分くらいで分かるかもしれない標準語と関西弁のアクセント
●北方ユーラシアの諸言語
●言語の数体系
●楔形文字の歴史
●イディッシュ語とその歴史
●New interpretations: Recognizing the non-canonical subject in modern Standard Arabic
●言語学的に英語を見てみよう―認知言語学の視点から―

ぜひ近くの学生と話をしてみてください。私の担当は「言語学的に英語を見てみよう―認知言語学の視点から―」です。言語学って何?文法って何?英語学って何?認知言語学って何?認知言語学的な文法研究って何?というのを書いています。私が部屋にいるときは、直接ご紹介します(土曜日午後と日曜日午前はだいたいいると思います)。

TwitterFacebookのアカウントもあるので、よろしければそちらもどうぞ。以下のように、言語学喫茶の情報をお伝えしています。楔形文字を書く体験もできますよ!

高校生から大人、大学院生まで幅広く楽しめる企画になっていると思いますので、お時間ある方は、ぜひお越しください!(前日のお知らせですみません^^;)

関連記事:
5月の思い出
ラベル:言語学 日記
posted by ダイスケ at 00:33| Comment(0) | 日々の出来事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月23日

英語学習の「5分+54年」を目指す

スマートフォンのアプリでできるゲームはたくさんありますが、最近は子供のころにやったゲームの移植版なども見かけます。ドラゴンクエストは特によくやったゲームなので、広告など見ると久しぶりにやりたくなります。以下の動画はスマートフォン版「ドラゴンクエストV」のプロモーション映像です。



ドラクエと言えば、この動画でも流れている「序曲」が有名ですね。ドラクエシリーズを代表する「これぞドラクエ」の音楽ですが、作曲家のすぎやまこういち氏によると、たった5分足らずで思いついたメロディだそうです。

5分で作曲というと、すぎやま氏にとっては簡単な行為のように感じますが、それは表面的な捉え方にすぎないでしょう。すぎやま氏自身はこう語っています。

「序曲」のメロディに関しては出来上がるまでに5分かからなかったかな。
30年前の曲で、今再び人気の「亜麻色の髪の乙女」のメロディは車で運転中に急に浮かんだメロディなのです。それでよく著作権に関して「たった5分で出来た曲にしては、ずいぶん稼げていいね。」と言われるのですが、これは5分ではないのです。ドラゴンクエストの「序曲」を作ったとき、僕は54歳の時です。ですから、「序曲」が出来上がるまでには「5分+54年」と考えてください。つまり、僕の54年間の人生が無ければ、あの「序曲」は出来なかったわけです。
すぎやまこういち氏のウェブサイトから)

「5分+54年」という表現に重みがありますね。それまですぎやま氏が作曲家として活動してきた背景、そして今まで経験してきたことのすべてがあってこその5分であることがわかります。

これは、人生のあらゆるところで当てはまることかもしれません。英語など、外国語の勉強でもそうですね。今読んでいる英語の本がわかるかどうか、英語で会話して相手の言うことが聞き取れて、それに応じた返事ができるかなど、それまでに触れてきた英語、それまでにやってきた英語学習で得たことのすべてが問われていると言えます。

これは、英語を読むのに苦労したり、うまく言いたいことが表現できなかったときに、なんで今までもっと真剣に英語の勉強をしてこなかったんだろうという気持ちにもつながりますが、一方で、今後も積み重ねていけばいつかもっと読める、もっと話せるようになる、という希望にもなります。自分の周りには英語がよくできる人が何人もいますが、その人たちがそれまでに英語に接してきた背景を感じつつ、自分も英語学習の「5分+54年」を目指してがんばっていきたいと思います。

関連記事:
忘れる ― 外国語を学ぶコツ
「魂の満足」としての語学
英語の勉強量なんて、みんな同じようなもの?
語学の上達のために必要なことを考える
ラベル:語学 英語教育
posted by ダイスケ at 19:39| Comment(0) | 学習・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月31日

飯間浩明著『辞書を編む』を読んで

今回、新しく採用された項目の中にも、「盲点だった」と思われることばが多く入りました。たとえば 「見ろ」なんていうのもその例です。「見ろ」は動詞 「見る」の命令形でしょう、と言われるかもしれませんが、感動詞としても使います。 「見ろ、だから言わないこっちゃない」の 「見ろ」は 、「ほら」「言ったとおりだろう」といった意味合いで発することばです。動詞 「見る」として説明するよりも 、感動詞 「見ろ」を新たに立てたほうが自然です。(飯間浩明『辞書を編む』「第3章 取捨選択」より)

言語学を勉強しているというと、辞書にも詳しいと思われるかもしれないが、言語学と辞書の関係は、一般的に思われているよりは近くないのかもしれない。辞書をつくる上で言語学が生かされるのはまちがいないが、言語学の知見がそのまま利用できるというものでもない。だれに向けてどんな目的で辞書をつくるのか、使用者が望む辞書はどんなものか、商品化するにあたってどんな制約があるかなど、辞書には辞書の事情がある。言語学の研究上、さまざまな形で辞書を参照するが、とりあえず自分の場合は、それだけでは必ずしも辞書に詳しくなるわけではなかった。でも辞書のことをもっと知りたいという思いもあって、手に取ったのが飯間浩明著『辞書を編む』(光文社新書、2013年)だった。Twitterで飯間先生の日本語観察の鋭さと誠実な語り口を拝見して、飯間先生の本を一冊読んでみたいと思っていたというのもある。

『辞書を編む』では、著者の飯間先生が編纂に携わった『三省堂国語辞典 第七版』(以下、『三国』)に関する話を中心に、辞書の魅力、『三国』とほかの辞書のちがい、日々の生活の中での用例の採取、意味を記述することの難しさやおもしろさなどが語られている。説明が丁寧でわかりやすく、また飯間先生の実体験なども多く書かれているので、小説『舟を編む』で辞書に興味を持った人はもちろん、これまで特に辞書についてあまり意識したことがないという人でもきっと楽しめると思う。

読んでいて、英語学習との関連で印象に残ったことを書いておきたい。冒頭で引用したように『三国』では、「見る」のほかに「見ろ」を新項目として追加している。言われてみると、たしかに、「見ろ」は単に見ることを指示するとき以外にも使っていることに気づく。実際に『三国』を引いてみると、「見ろ、今のせりふ聞いたか」という例文が載っている。一見何の変哲もない表現のように見えるが、日本語を母語としない人からすると「見る」なのに「聞く」なのか、と混乱してしまうかもしれない。なぜ「見ろ」に人の注意を引くことばとしての用法があるかは、とりあえず深入りしないが(言語学ならそれも研究対象になる)、ある語が特定の活用形を取ったときに、ほかの活用形よりも偏った用法に特化していたり、独自の用法を発展させているというのは、英語でも見られる。

たとえば、動詞consume(消費する)は、energyやoilなどのエネルギーを表す語やtimeなど時間を表す語と使う。これがconsumingという形になると、time-consuming(時間がかかる)のようにtimeとともに使うことが顕著に増える。また、consuming passion(燃えるような情熱)のようなフレーズも比較的定着しているようだ(be consumed with passionのように、passionがほかの活用形のconsumeと使うこともないではないが、使用例はかなり少ないようだ)。

実際、英英辞典などを見ると、consumingやtime-consumingはそれぞれ独立した見出しで解説されていることが多い。英語を学習する身からすると、consumeという語を知っていると、その一活用形のconsumingをわざわざ辞書で確認しなかったりするが、こういうとろこに注意を向けていないと、consuming passionを「消費する情熱」などと考えて、わかるようなわからないような状態になったり、「時間がかかる」というときにサッとtime-consumingを思いつかなかったりするかもしれない。

このように、特定の活用形に、それ以外の活用形から必ずしも予測できない用法が見られることはわりとあって、そういった面にも気を配りながら英語を学習するのが重要になるのだが、個人的にはそれを日本語を例にして実感できるような思いで本書を読んでいた。辞書づくりと外国語学習は、意外と似たところもあるのかもしれない。

ほかにも「来る」とは別に「来た」を新項目として立てた話も出てくる。人に何か頼まれたときに答える「よし来た」という用法や「コンビニもないときたもんだ」といった用法では、たしかに「来る」とは(関連しつつも)だいぶ離れた用法だと感じられる。それでも、母語話者としては特に違和感もなく普通に使っているところがおもしろいなと思う。日本語の辞書をつくる人というのは、まるで日本語を自分が知らない言語であるかのように新鮮な気持ちで眺めることが必要なのだろう。飯間先生の観察には、そういう新鮮さにあふれていて、読んでいて爽快感があった。

あと、「潔い」が「いさぎ・よい」と分解されたことから生じる「いさぎのよい」「いさぎない」などについても言及があった。これについては、「「いさぎ悪い」という表現を考える」という記事で自分も以前取り上げたことがあって、飯間先生と同じ現象に関心をもったことをうれしく感じた。

ちょうど『三国 第七版』の編纂中に書かれた本なので、『三国』の改訂に関わる話が多いが、この本を読んだらきっと『三国』を手に取ってみたくなるだろう。現在はスマートフォン用のアプリ版も出ているので、さらに気軽に『三国』に触れることができる。

なお、英語のconsumeの話は、以下の本を参考にした。実際に自分でもコーパスと呼ばれる用例のデータベースを検索してみた(Corpus of Contemporary American English)。
Stubbs, Michael. 2001. Words and Phrases: Corpus Studies of Lexical Semantics. Oxford: Blackwell.

辞書を編む (光文社新書) -
飯間浩明
辞書を編む
光文社新書


三省堂国語辞典 第七版 -
三省堂国語辞典 第七版

関連記事:
「いさぎ悪い」という表現を考える
posted by ダイスケ at 23:59| Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月10日

英語学習に便利なアプリ

先日、英語学習に便利なウェブサイトについて書いたら、思いのほか多くの人に見ていただけました。今回は、スマートフォンで使えるアプリをご紹介しますね。アプリとはいっても、ウェブ上でも利用できるので、スマートフォンを使っていない方にも役に立つ部分があると思います。なお、いずれも無料です。

Studyplus(App Store)Studyplus(Google Play)
○「勉強の記録で習慣化!「Studyplus」学習管理ができる無料アプリ」という宣伝文句からわかるように、自分の勉強時間を記録するのに役立つアプリ。自分で設定した教材(市販の書籍やアプリを選んだり、独自設定の教材も登録できる)ごとに勉強時間を記録する。ウェブサイトはこちら
○一日ごと、一週間ごと、一か月ごとの勉強時間をグラフにしたり、どの教材に勉強時間を配分しているかを見直すことができるので、自分自身の行動を知るのに便利。
○自分の学習管理だけでなく、SNSとしても利用できる。タイムラインには自分が友達申請した人の勉強ログが流れる。どちらかといえば、大学受験生を主なターゲットにしているように思われるが、大学生・大学院生や資格試験にむけて勉強している社会人でも利用している人はいるようなので、勉強仲間を見つけてみよう。


Urban Dictionary(App Store)Urban Dictionary(Google Play)
○俗語、若者言葉など、市販の辞書に記載がないような語句のためのオンライン辞書。一般の辞書と違い、ユーザーからの投稿で成り立っている。一つの語句に対して複数の説明が投稿されていたり、各説明に対してそれが妥当かの評価がついていたりするのが特徴。
○ドラマに出てくる表現、文字通りに取ると意味不明な表現など、これを見て解決することも多い。
ウェブサイトはこちら。Urban Dictionary自体は比較的知られているものの、アプリの存在は意外と知らないかもと思い掲載。アプリでサクッと引けるのはやはり便利。


らじる★らじる(App Store)らじる★らじる(Google Play)
○インターネットを利用して、NHKのラジオ(第1・第2・FM)を聴くことができる。ウェブサイトはこちら
○英語学習としては、ラジオ第2で放送している各種英語講座を聴くのに使えるのがありがたい。アプリでは聴きたい番組のアラーム設定が可能なので、放送時間を忘れてしまう人に最適。
○現在どんな講座が開かれているかは、NHKゴガクというウェブサイトで確認しよう。ちなみに、NHKゴガクで無料の利用登録をしておくと、前の週に放送したのを一週間分ストリーミングで聴くことができる。放送時間に聴けないない人、復習したいけどCD買うほどではない人などにおすすめ。実際には「らじる★らじる」よりこっちのほうが便利かも。


先日、春から英語教員になる方とお話しして、やっぱりNHKのラジオ講座はいいよねという話題になりました。その方は遠山顕先生の「ラジオ英会話」を聴いているということで、番組の構成がよく練られているのがわかる、とのことでした。そのとき、ウェブでも聴けるし、アプリもあるというのを知らなかったようなのでお伝えしました。もしかしたら、意外と知られていないかなと思い、aあわせていくつかのアプリも取り上げてみました。ちなみに、私も遠山先生が好きで、長期休みのときは聴くようにしています。柴原智幸先生の「攻略!英語リスニング」も聴いています。

関連記事:
英語学習に便利なウェブサイト(1)
英語学習に便利なウェブサイト(2)
英語学習に便利なウェブサイト(3):学習方法とテスト作成方法
ラベル:語学 英語教育
posted by ダイスケ at 19:37| Comment(0) | 学習・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月31日

2015年もよろしくお願いします

2015年になって1ヶ月経ちました。今年はもっとブログを更新したいなと思っていたら、最初から1月分を2月になってから更新する状態になってしまいました(この記事は2月になってから書いたものを、日付の調整をして掲載しています)。

去年のことを考えると、幸いにも先生方や知り合いの方から、これをやってみないか、あれをやってみないか、と声をかけてもらえることが増えてきました。自分が微力ながらにも貢献できるのは光栄ですし、自分自身の勉強にもなり、自分の世界が広がった一年でした。だんだんと、これまで自分が大学院生としてやってきたのとは違う段階になりつつあるのを感じます。

あまり細かいことは書けないですが、ここ数年は毎年のように自分の所属が何かしらの形で変わっていて、なかなか目まぐるしい状況です。博士課程の学生の生活って、安定はしないですが、その分いろいろなことにチャレンジできるものですね。やれることはしっかりやって、チャンスをつかみ、さらに前に進んでいける一年にしていければと思います。今年もよろしくお願いします。
ラベル:日記
posted by ダイスケ at 23:59| Comment(0) | 日々の出来事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月31日

英語学習に便利なウェブサイト(2)

前回に引き続き、英語学習に便利なウェブサイトを紹介します。今回は、ジャンルをある程度限定して、医学・医療分野で役立つものを扱います。音声とその書き起こしが手に入るものもあれば、辞書もあったりと、形式にはこだわらないことにします。

Podcasts at CDC
CDCが運営するウェブサイト。CDCとはCenters for Disease Control and Prevention、つまりアメリカの疾病対策センターのこと(エボラ関連のニュースで耳にした人も多いかもしれない)。健康や病気の予防に関する情報が配信されている。
○音声のダウンロードができる。書き起こしはウェブサイト上でも閲覧できるしPDFでダウンロードすることも可能(学生に配布するときに便利そう)。
○音声の長さは2分ぐらいのものから8分ぐらいのものまでさまざま。さらに、短めのFor Kids(30秒程度)やRadio-Ready PSAs(1分程度)といったカテゴリーもあるので、興味や集中力に応じて聞きたいものを選べる。


MediEigo(メディエイゴ)
○医療関係者向けの英語学習サイト。ニュースや英単語、医療現場で使えるフレーズなど、充実のコンテンツ(ただし、2013年で更新が止まっている?)。
「気楽に1分〜脳に染み込む医学論文・頻出単語!」では、医学論文によく使用される100の英単語が例文とともに解説されており、医学論文を書くときやその準備として便利。
「おすすめ 英語学習サイト」では、医療分野以外にも便利なウェブサイトを紹介している。


ライフサイエンス辞書
ライフサイエンス辞書プロジェクトの一環として公開されているウェブ上の辞書。生命科学(ライフサイエンス)分野の学術論文を解析したデータベースをもとに、英和・和英の検索ができるだけでなく、共起語表現の検索なども行える。
○普通の辞書には載っていないような専門用語もばっちり。関連語なども見つけることができる。
○共起表現検索は、生命科学分野のコーパスになっている。調べたい語句の前後に現れる語の頻度を集計したり、その語句が入った用例を網羅的に表示させることができる(その用例が含まれる論文に飛ぶリンクも用意されている)。
スマートフォン用のページも用意されている。


医学部、看護学部の学生が勉強するのにぴったりですが、それらの学部で英語を教える先生にとっても役に立ちそうです。文系学部でも、エボラなどの時事問題を扱おうと思ったときには、Podcasts at CDCから教材を取ってきたりできますね。

英語学習のやる気って、便利なウェブサイトを知っているかどうかというちょっとしたことにも案外左右されるような気がします。ご紹介した情報が少しでもお役に立っていれば幸いです。

関連記事:
英語学習に便利なウェブサイト(1)
英語学習に便利なウェブサイト(3):学習方法とテスト作成方法
英語学習に便利なアプリ
ラベル:英語教育 語学
posted by ダイスケ at 19:18| Comment(0) | 学習・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月30日

英語学習に便利なウェブサイト(1)

インターネットは何か調べるのにとても便利ですが、英語学習にも役立つものがたくさんあります。今回は特に、(1) 無料で利用できる、(2) 音声または映像が手に入る、(3) 放送された英語の書き起こしが手に入る、という3点がそろったウェブサイトを紹介します。いずれも登録不要で利用できます。

ABCニュースシャワー
○米国のABC NewsにNHKが字幕・解説をつけたもの。
○1分ぐらいのニュースを英語字幕・日本語字幕・字幕なしなど複数回見せてくれる。一回の動画は約5分。
○毎回キーワードが設定されており、その語句を中心に解説される。
○NHK「国際報道2014」のウェブサイトから映像の視聴と字幕の閲覧ができる


SCIENTIFIC AMERICAN
○最新の科学論文を英語で簡単に紹介してくれる。
○Videos&Podcastsに進むと、60-Second Science(科学全般の話題)、 60-Second Health(医療・医学の話題)、60-Second Mind(心理学や脳科学の話題)など複数のカテゴリーがあり、一分間の音声解説とその書き起こしがある。
○MP3形式で音声をダウンロード可能(Podcastにも対応)。
○もとの論文へのリンクもあるので、気になった話題はさらに深く知ることが可能。


TED
○最近話題の英語によるプレゼンテーションを配信するウェブサイト。
○「価値のあるアイデアを世に広める」ことを目的として、講演者が各分野の最新の知見を巧みに語る。
○NHKの「スーパープレゼンテーション」という番組のもとになっているもの。
○内容、講演時間(短いもので3分ぐらい、長いものだと20分以上のものもある)もバラエティに富んでおり、自分に合うものを選べる。
○字幕なし、英語字幕、日本語字幕(それ以外にも様々な言語の字幕が選べる)などが選択できるため、学習の目的に合わせた利用が可能。
○映像がダウロード可能、TED視聴用のアプリも複数あるのでスマートフォンでも利用しやすい。


どれもよく更新されるので、継続的に英語教材を手に入れることができます。もともと日本人が英語を学習するために作られたわけわけではない(ABCニュースシャワーの場合、もとのニュース自体は学習者向けに放送されたものではない)ので、少々レベルが高いものもありますが、本格的に英語を勉強するには、学習者向けの教材だけでは不十分なので、意欲のある大学生や一定の英語力がある人にはおすすめです。電車の中やちょっとした空き時間にも利用できるので、ぜひ見てみてください。

関連記事:
英語学習に便利なウェブサイト(2)
英語学習に便利なウェブサイト(3):学習方法とテスト作成方法
英語学習に便利なアプリ
ラベル:英語教育 語学
posted by ダイスケ at 00:38| Comment(0) | 学習・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月31日

日本語の「髪」と「髪の毛」、英語のhair

「葉」は漢字で見ればすぐに意味が取れるが、音声にするとあまりに短かったり、「歯」のように紛らわしいものがあるため、すぐに認識しづらいこともあるだろう。そのためか、「葉っぱ」という言い方もある。ほかにも、「黄」に対して「黄色」、「田」に対して「田んぼ」というペアもある。

「髪」に対して「髪の毛」という言い方があるのも、同じ理由によるものかもしれない。「かみ」という音は、ほかにも「紙」などの解釈がありうるが、「髪の毛」としておけばそのような誤解がなくなる。「髪の毛」が紛らわしさを避けるための表現だとすれば、その存在意義も十分理解できたような気がするが、今回はその意味についてもう一歩踏み込んで考えてみたい。「髪」と「髪の毛」は本当に同じ意味を表しているのだろうか。

まず、「髪の毛」という表現の成り立ちについて確認しておこう。「髪の毛」は、[髪+の+毛]という3つの要素からできている。「髪」は「頭に生える毛」なのだから、すでに「髪」の中に「毛」の意味が入っていると考えて差し支えないだろう。つまり、「髪の毛」という表現の中で、「毛」が果たす役割はほとんどないと言ってよい。(「黄色」の場合も、「黄」がすでに色の一種なのだから、「色」を付け加えても意味上の貢献はほぼない)。そのため、「髪」と「髪の毛」が指すのは同じもののように考えられる。

しかし、「髪」と「髪の毛」が常に交換可能とは限らない。以下の例を見てみよう。

(1) 昨日、レストランに行ったら、スープに{髪/髪の毛}が入っていたので、交換してもらった。
(2) {髪/髪の毛}を変えただけで、若返ったと言われた。

どちらかと言えば、(1)は「髪の毛」、(2)は「髪」が自然に感じられるのではないだろうか。(1)では、スープに入っている毛は一本であるのが普通の読みだろう。この例のように一本一本の毛に注目する場合は、「髪」よりも「髪の毛」のほうがしっくりくる。それに対して、(2)は髪全体の形、要するに髪型を話題にしている。集合体としての毛を意識した場合は、「髪」と言いやすい。もしそうであるとすれば、「髪」と「髪の毛」は、私たちが頭の毛をどのように認識するかという、捉え方の違いを反映していると言える。

もちろん、そのような違いが意識されていないような場合もある。「{髪/髪の毛}がボサボサだ」は、「髪」と言っても「髪の毛」と言っても、それほど違いはないだろう。しかし、(1)や(2)のように使い分けがある場合は、上述のような毛の捉え方に基づいているようだ。(ちなみに、「髪」はわりと適用できる範囲が広い語であるため、「髪の毛」の代わりに使える例もある程度見つかるが、「頭髪」や「毛髪」は集合体としての頭の毛を指すのに限定されると言ってよさそうだ)。

「髪」と「髪の毛」の使い分けに相当するものが、英語にもある。英語のhairは、可算名詞の用法も不可算名詞の用法もあるが、どちらとして扱うかは、日本語の「髪」と「髪の毛」の違いにだいたい対応している。(3)と(4)には、その違いがよくあらわれている。

(3) You have a hair on your collar. I will take it off.
(4) She has beautiful blonde hair.

(3)は襟に髪の毛が一本ある場合で、このように明確な形をもつ一本の毛を指す場合、hairは可算名詞として扱われる(そのため、不定冠詞をつけたり、複数形にしたりできる)。一方、(4)のように毛の本数を意識しているのではなく、毛の集まりからなる連続体として見る場合、hairは不可算名詞である(不定冠詞をつけたり、複数形にしたりしない)。これは、さきほどの「髪」と「髪の毛」の使い分けに似ていると言える。

このことがわかれば、以下のペアについても、一方が可算名詞、他方が不可算名詞であるのも理解できるだろう。

(5) She handed me a glass.
(6) This bowl is made of glass.

(7) Could you lend me a pencil?
(8) Don't write it in pencil; write it in ink.

(5)のglassは明確な形をもった「コップ、グラス」であり、不定冠詞があることからわかるように可算名詞であるが、(6)は境界線のない材料としての「ガラス」であり、不可算名詞である。同様に、(7)のpencilは一本の「鉛筆」を表しているため可算名詞だが、(8)では書類を書くのに必要な手段であり、「鉛筆」の本数や形状を意識したりせず、不可算名詞である(それは、インクと対比していることからもわかる)。日本語には、可算名詞、不可算名詞という文法上の区別がないので、なかなかわかりづらいところがあるが、「髪」と「髪の毛」のような違いだと思えば、その違いも納得しやすいのではないだろうか。

それにしても、このような微妙な使い分けを自然と行っていると思うと、改めてことばっておもしろいなと思うし、日本語でも英語でも同じようなことを区別する場合があるのに、その区別をどのような手段によって行うかが異なるというのも、おもしろい。ほかにもこういう使い分けをしている表現はないだろうか、ほかの言語ではどうだろうかと、どんどん考えたくなる。

*****

今回の内容は、先日の公開講座でもお話しした内容です。もともと、大学院の友達との会話がきっかけで思いついた内容で、日々こんな話ばかりしています(笑)。なお、英語の例(3)-(8)は、久野ワ・高見健一著『謎解きの英文法 冠詞と名詞』の7ページに載っているものです。英語の名詞、冠詞に興味がある方には、おすすめの一冊です。

謎解きの英文法 冠詞と名詞 -
久野ワ・高見健一
謎解きの英文法―冠詞と名詞
くろしお出版


関連記事:
公開講座のお知らせ「なんでそんなふうに言ったんだろう?〜「なぜ」に迫る言語学〜」
公開講座を終えて
posted by ダイスケ at 16:51| Comment(0) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月30日

公開講座の報告ページ

ご報告が遅れましたが、先日の河合塾K会の公開講座「なんでそんなふうに言ったんだろう〜なぜに迫る言語学〜」の報告ページができましたのでお知らせします。以下のウェブサイトの後半部分です。
セミナーレポート 2014年度

報告ページには、アンケートの感想欄からの抜粋が載っています。感想を見る限り、初めて言語学について聞く人にも楽しんでもらえたところがあったようで、よかったなと思っています。

回答してもらったアンケートは、公開講座が終わってすぐに読みました。なんというか、うまく表現できないんですが、どの感想からも参加していただいた方々の気持ちが伝わってきて、読んでいてこちらが感動してしまうぐらいで、思わず何度も読み返してしまいました。

公開講座は、途中休憩を挟んだとはいえ、全体で2時間もあったので長く感じる人もいるのではないかと思いましたが、もっと話を聞いてみたかった、2時間ではむしろ短いぐらいだった、といった感想も複数いただいて、そんなふうに思ってもらえるなんて本当にありがたい限りです。

ウェブサイト掲載不可にチェックが入っているものもあったので、実際には掲載されているのよりももっと多くの感想をいただいているのですが、どの感想もしっかり受けとめました。

今回参加できなかったという方から、また公開講座をやるのであれば教えてほしいと言っていただきました。ポスター作ってもらったり、ちゃんとした教室を用意してもらって人前で話すことは、なかなかない気がしますが(授業や学会発表と違って、こういうチャンスはめったにないので)、今後もこのような機会があればうれしいです。参加してくださった方々とは、いずれまた何らかの形でお会いできればいいなと思っています。

関連記事:
公開講座のお知らせ「なんでそんなふうに言ったんだろう?〜「なぜ」に迫る言語学〜」
公開講座を終えて
posted by ダイスケ at 02:16| Comment(0) | 学習・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月13日

公開講座を終えて

先日お知らせした公開講座、無事終了しました。
公開講座のお知らせ「なんでそんなふうに言ったんだろう?〜「なぜ」に迫る言語学〜」

ご来場いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

実は、最初はあまり申し込みがなくて、大丈夫かなと思っていたのですが、だんだんと申し込みが増えていき、最終的には当初設定していた定員を超えるぐらい申込数がありました(当日申し込みの方は、席が確保できるまで別室で待機していただいたりもしました)。当日は午後から雨という予報も出ていたにもかかわらず、足をお運びいただき心から感謝いたします。

今まで、英語を教えることはあっても、特定の科目や授業から離れて、ことばについて話をするのは初めてでした。どのような話をしようかなと考えたのですが、自分がことばに関して抱く素朴な疑問や、おもしろいと思っていることを素直に表現してもいいのかと思ったら、かえって普段の授業よりもやりやすい気がしてきました。実際、当日も緊張はしつつも(普段の授業でも緊張しないときはないのですが)、肩に力が入りすぎるこもなく、話ができたように思います。

公開講座は、ブログの延長線上にあると前に書きましたが、実際、過去にこのブログで書いたことをまとめ直してしゃべった箇所も多いです。たとえば以下の記事などです。

「冷やす」と「冷ます」 ― 似ていることばのちがいを探る(2009年8月22日)
I am making slow progress. ― ことばがつくる現実(2009年10月22日)
ことばを並べる:言語の線条性と創造性(2011年2月15日)
ジョナさん?(2011年6月29日)
「大学芋」からことばの不思議へ(2012年5月6日)

ほかにも、様々な本を参照したりしているのですが、特に今回意識していたのは、以下の本です(当日にも紹介しました)。

ふしぎなことば ことばのふしぎ (ちくまプリマーブックス) -
池上嘉彦『ふしぎなことば ことばのふしぎ』筑摩書房、1987年。

英語の感覚・日本語の感覚―“ことばの意味”のしくみ (NHKブックス) -
池上嘉彦『英語の感覚・日本語の感覚』NHKブックス、2006年。

日本語と外国語 (岩波新書) -
鈴木孝夫『日本語と外国語』岩波新書、1990年。

はじめて考えるときのように―「わかる」ための哲学的道案内 (PHP文庫) -
野矢茂樹『はじめて考えるときのように』PHP文庫、2004年。

言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学 (中公新書) -
西村義樹・野矢茂樹『言語学の教室―哲学者と学ぶ認知言語学』中公新書、2013年。

今回は、言語学の中でも、特に「認知言語学」と呼ばれる分野についてお話ししました。言語学と言っても、実は相当いろいろな分野が含まれています。言語学の中で認知言語学がどういう位置づけなのか、といった話はしませんでしたし、さらには認知言語学といっても、その考えをごく一部しか紹介できませんでしたが、ことばについて考えてみることのおもしろさや、一見とっつきづらそうな文法が、人の心を考えるきっかけになることを感じてもらえたらいいなと思っています。

関連記事:
公開講座のお知らせ「なんでそんなふうに言ったんだろう?〜「なぜ」に迫る言語学〜」
公開講座の報告ページ
posted by ダイスケ at 17:00| Comment(0) | 学習・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする