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■大学芋はなんで「大学芋」という名前?「大学」+「芋」=「大学芋」と単純にはいえない。そう考えると、ことばには不思議がいっぱい。「大学芋」をきっかけにことばについて考えるブログです!
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2016年03月31日

年度の終わりに

年度末ということで、この一年間でやったことをまとめて報告したりする機会があります。昨年度は参加できてよかった授業があって、授業の成果を学会のワークショップで発表できたのはとてもありがたかったなと思っています。今まで手薄だったことを勉強したり、新しいことへのチャレンジは思ったほどできなかったけど、イギリスに行けたし今後につなげるきっかけは得られた部分もあるかな。4月からの年度では、少なくとも英語の部分はもっともっとブラッシュアップしてきたいと思います。そろそろ学生として在籍するのも終わりするつもりなので、今のうちにできることはしておきたいと思います。

そういえば、ブログの閲覧もここ数年でスマートフォンからのものが増えたのですが、あまりスマートフォン用のカスタマイズがちゃんとできてないなあと思います。そもそも更新もそれほどできてないのですが、できればもう少しやっていきたいです。
ラベル:日記
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2016年02月29日

ブログをやっていてよかったこと

先月でちょうどブログを始めて7年、今月から8年目に入る。

ブログをやっていて思うのは、ときとして、ブログで書いたことが何気ない会話のときに役に立つことがある、ということだ。何気ない会話と言ってもある程度言語や英語学習に関する話をするときだが、そういうときに、相手の言ったことを受けて、似たような例があるよ、こういうのとも関連しているね、などとブログで書いたことを伝えたりすることができる。その場ではじめて考えるのは大変でも、一度ブログに文章としてまとめたことは自分の会話の引き出しとなってしっかりと残っているので、わりと瞬時にそれを引っ張り出せる。そういうときには、ブログは会話のネタ帳をウェブ上で公開しているようなものかもしれないなあなんて思ったりする。会話のあとに、ブログでこういう記事を書いたことがあるので、よかったら読んでみてねと言って、あとからURLを相手に送ることもできる。

普段の会話の場合はたまたまだが、英語の授業をやるときなどは意識的にブログに書いたようなことから話題を選んで話をすることもあるので、よく考えるとネタ帳という側面は思ったよりも強いかもしれない。人に見せることを意識することで、単にノートにメモするよりもちゃんと考えるきっかけになるし、ブログをやっていてよかったなあと思う。
ラベル:日記
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2016年01月31日

ブログ開設7周年を迎えて

2016年になりました。ブログを始めたのが2009年の1月なので、もう7年もこのブログを続けているかと思うと不思議な気持ちがします。その間いろいろありましたが、こうやって言語学を続けることができているのはありがたいことです。

思えば、中学生ぐらいのころから言語学はやってみたかったんだろうなと思います。当時は言語学という学問を知っていたわけではないですが、英文法について考えるのはそのときから楽しかったです。国語の古文はあまり得意ではなかったですが、文法は好きでした。受身の助動詞(る・らる)がほかに尊敬、自発、可能の意味ももつのはなぜかな、なんて考えていました。そういう意味では、中学生ぐらいから好きなものは変わってないので、そういうものに出会えたのは幸いでした。2016年も楽しんで言語学をやっていこうと思います。
ラベル:日記
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2015年12月31日

英語学習の勇気が出る言葉

英語の学習を続ける上では、モチベーションの維持も大事ですね。勉強できない日があるとつい情けない気持ちになりますが、あんまり後ろ向きにならずに、そういう日もあるかと多少楽観的でも継続することが大切だなと思います。

NHKのラジオ講座のうち、「攻略!英語リスニング」というのがあるのですが、講師の柴原智幸先生の言葉にはいつも勇気づけられています。今年特に印象に残っていたのをいくつか紹介します。

体が疲れていると、精神的にも踏ん張りがきかないといいますか、いつもどおりの学習を「ちょっとキツイなあ」と感じることもあるでしょう。そんなときは、回数や頻度を減らしても完全には「ゼロ」にしない、「守りの学習」を継続してみてください。大丈夫、いずれまた、アクセルを踏める段階がきっとやってきます。(2015年7月号、p. 2)

経験からすると、「しっかり条件を整えて、一気に挽回しよう」と思うこと自体、かなり疲弊している証拠です。あまり気負わずに、ほんのちょっとでも動き出すと、それがきっかけでスイッチが入ることが多いですから、肩の力を抜いて取り組んでみましょう。(2015年9月号、p. 2)

忙しくてふだあんのメニューがこなせないときは、簡単なメニューをこなせたら自分を大いに褒めてあげること。疲れ果てているときは、「テキストを開いて、30秒眺める」でもかまいません。「1歩前進している自分」「立ち向かっている自分」を感じて、学習の励みにしてください。(2016年1月号、p. 2)

情けない気持ちになっても学習を完全にやめない、ちょっとでもやれた自分をほめて継続する。そのための勇気をくれる言葉だなと思います。引き続き、英語の勉強を頑張りたいと思います。

関連記事:
忘れる ― 外国語を学ぶコツ
「魂の満足」としての語学
英語の勉強量なんて、みんな同じようなもの?
語学の上達のために必要なことを考える
英語学習の「5分+54年」を目指す
ラベル:語学 英語教育
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2015年11月22日

英語のレシピに見られる目的語省略:現象と文献の紹介

「炒まる」という表現を聞いたことがあるだろうか。これはある料理番組で聞いた動詞で、たしか「玉ねぎが炒まったら、肉を加えます」のような表現だったように思う。

「壊す」に対して「壊す」、「焼く」に対して「焼ける」のように、日本語には他動詞と自動詞の対応関係が見つかる場合がある。「炒める」と「炒まる」もそれに相当するが、「炒まる」については、自然な日本語だと思うかどうか、人によって違いがあるかもしれない。実際、自分が料理番組で耳にしたときは、ちょっとびっくりした。実際にウェブ上で検索してみると、かなりの使用例が見つかって、料理の際には使う人も多くいるようだ。

このように、レシピなど調理手順を説明するときの表現を観察すると、おもしろいことがいろいろ見つかる。自分の場合英語を研究しているので、イギリスで買ってきた料理本を見たりするのだが、レシピならではの言い回しが見つかってとてもおもしろい。

英語研究の中にもレシピに着目したものがいくつかあるが、特に注目されてきたのは、レシピにおける目的語省略だろう。英語では、たとえ前後の文脈からわかったとしても、John broke the vase.の代わりにJohn broke.のように目的語を省略しては表現できず、John broke it.のように代名詞を使う必要がある。英語でも目的語の省略がないわけではないが、日本語の場合とはかなり違って、どんなときに省略できるかなどが研究されている。英語の目的語省略についてざっと概観したい場合は、以下の文献が便利である(ちなみに、この本の305ページに料理動詞についてのコラムがあるので、それを見てみると料理関係の表現についてもっと興味が湧くかもしれない)。

■杉岡洋子・影山太郎. 2011. 目的語の省略. 影山太郎(編) 『日英対照 名詞の意味と構文』 東京: 大修館書店.

自由に目的語の省略ができない英語だが、興味深いことに、レシピとなると頻繁に目的語の省略が見られる。たとえば、次の例を見てみよう。

(1) Slice the onion finely, brown Ø in the butter and then place Ø in a small dish.

brown(炒める)の目的語とplace(置く)の目的語が省略されている(Øでそれを表現している)が、この場合はどちらも玉ねぎが目的語に当たると言える。

レシピの目的語がどんな性質をもっているのか、それを文法研究としてどのように扱うべきかなどをめぐっては、以下のような研究がある(関連文献が見つかったら追加していく予定)。

■新池邦子. 2010. 英語のレシピにおける顕現しない被動作主項. 『英語語法文法研究』 17, 162-167.
■Bender, Emily. 1999. Constituting context: Null objects in English recipes revisited. Proceedings of the 23rd Annual Penn Linguistics Colloquium, 53-68.
■Brown, Gillian and George Yule. 1983. Discourse Analysis. Cambridge: Cambridge University Press.
■Culy, Christopher. 1996. Null objects in English recipes. Language Variation and Change 8, 91-124.
■Ferguson, Charles A. 1994. Dialect, register, and genre. In Douglas Biber and Edward Finegan (eds.), Sociolinguistic perspectives on register, 15-29. Oxford: Oxford University Press.
■Haegeman, Liliane. 1987. Register variation in English: Some theoretical observations. Journal of English Linguistics 20, 230-248.
■貝森有祐. 2016. レジスターから見る語彙・構文の選択と英語教育への含意: レシピに注目して. Encounters 4, 65-82.
■Kittredge, Richard. 1982. Variation and homogeneity of sublanguages. In Richard Kittredge and John Lehrberger (eds.), Sublanguage: Studies of Language in Restricted Semantic Domains, 107-137. Berlin: de Gruyter.
■Massam, Diane and Yves Roberge. 1989. Recipe context null objects in English. Linguistic inquiry 20,134-139.
■Nonaka, Daisuke. 2016. How to cook with the locative alternation. Paper presented at the 6th UK Cognitive Linguistics Conference, July 19-22th, Bangor University.
■野中大輔. 2017. 非交替動詞が交替するとき: 類推と文脈から見る構文の生産性. Human Linguistics Review 2, 47-63.
■Ruppenhofer, Josef and Laura A. Michaelis. 2010. A constructional account of genre-based argument omissions. Constructions and Frames 2, 158-184.

基本的なことは1980年代の研究で指摘されているので(Brown and Yule 1983; Haegeman 1987; Kittredge 1982; Massam and Roberge 1989)、レシピの英語について興味のある人はそこからどうぞ。ちなみに、先ほどの例文(1)はBrown and Yule (1983: 175)から。

文法研究としては、Bender (1999)、Culy (1996)、Massam and Roberge (1989)、Ruppenfoher and Michaelis (2010)、談話分析としてはBrown and Yule (1983)、ジャンル・レジスターの研究としてはKittredge (1982)、レシピの英語の歴史的研究としてはCuly (1996)、などなど、それぞれの関心に応じて、そのあたりの論文を読んみるとヒントが見つかるかもしれない。

追記
文献を追加(2016/01/10)

関連記事:
英語の場所格交替:現象と文献の紹介
英語の形容詞的受身:現象と文献の紹介
Semantic prosody:現象と文献の紹介
英語の同族目的語構文:現象と文献の紹介
英語の接頭辞over-:現象と文献の紹介
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2015年10月31日

大学の英語の授業について考える

以前、高校の非常勤講師として働いていたとき、勉強合宿に引率として参加したことがある。そのとき、古文の授業を生徒といっしょに受けてみた。大学受験のときは、古文は文系科目の中ではあまりうまくできるようにならかったし、古文に触れるのも久しぶりだったが、そのときは思いのほか理解でき、また今だからこそわかる部分、楽しめる部分があるように思えた。

高校までの勉強で科目のイメージが決まってしまうのはしょうがないものの、そのとき苦手だったりおもしろくないと感じてずっとそのままになってしまうというのは、もったいないかもしれない。実際には、高校までとは違うアプローチも世の中にはたくさんあって、もっと違う付き合い方があるのだから。古文をおもしろいと思えたのは、曲がりなりにも文学部にいたおかげで、文学が専門ではなかったにせよ、文学や歴史や芸術との付き合い方にいろいろあるのを知って、付き合い方を選べるようになったのが大きい気がした(もちろん、言語学を学んだおかげで、古文の文法なども新たな気持ちで見れたというのもある)。それは自分が文学部にいたことの収穫の一つのように思う。

そう考えると、大学の英語教育は、高校までとは違う英語への接し方もあることを提示して、個々人が付き合いたいように英語に付き合える手伝いをするのも大切なことかもしれない。英語の授業にも、何かの手段として使えるようにするという実用的な面も、外国語を学ぶ意義や言語そのもののおもしろさを伝えるという面も、文化を伝える面も、いろいろあるはずだ。どの学部で教えるかによって強調する面は変わるだろうが、人によって興味を持つところは違って当然だし、いろんな接し方があること自体を示唆できたら意義深いものになるのではないかと思う。

英語は実技的な側面が強い科目なので、実技面での結果を伴わなければ意味がないと考えることもできるが、実技面を測ることを目的としすぎるとテストは最初からできる人が有利なようにも思える。また、そうそう短期的にスキルが上がるわけでもないので、もし仮にスキル向上が見られなければその学生にとって意味がないのかといえばそうとは言い切れないだろう。もちろん、実技面での効果がなくていいと言ってるのではないのだが、それ以外のことも視野に入れておもしろさや新しい付き合い方を見つけらるならそれも大事だし、それは結果的に実技面でのやる気の向上にもつながることもあるように感じる。

その点、大学の体育の授業などは、英語の授業にとっても参考になる部分あるかもしれない。自分が大学生だったころ、室内トレーニングの授業を履修したのだが(正確な科目名はちょっと違ったかもしれない)、トレーニングの考え方や種類を学んだり、毎回トレーニングをしてそれを記録することが評価の対象で、受講時の運動能力そのものは基本的に成績とは関係なかったので、高校までとはだいぶ違うなあと思ったのだった。

私の友達は、大学で舞踊が専門の先生から体育の授業を受けたことがあるそうだ。バレエの型をやったり、色々なストレッチをしたりして、身体の筋肉のしくみとか使い方を知るような授業で、自分の身体の概念を覆される授業だったとのこと。これまで何となく「知っている」と思っていたことの新しい見方を学べて、それを通して自分自身の興味に気付けたりするのも、大学の授業の役割なのかもしれない。

大学の授業は、多くの場合、これまでの常識から離れて学問することの入り口をやるのに対して、英語の場合は大学でも何かの手段として扱われがちで(言語学としての英語は別)、授業は高校までとの連続性が一番あるように思われているかもしない。それは授業担当者から見てもそうかもしれない。しかし、たとえ言語学という形ではなく、語学の英語であっても、英語との新しい出会いにしてもらえるようなことを自分は授業を通してやりたい。すぐには実践としてできなくても、そういったものを目指したいと思う。

関連記事:
英語の間接疑問とカンマ:間違いの背後にあるもの
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2015年09月07日

ハ行、バ行、パ行の発音とオノマトペ

私が大学院でやっているのは、言語学分野での英語研究なのですが、言語学というと、何やらとっつきづらく感じられるかもしれません。でもそんなに難しく考えないで、とりあえず普段使っている言葉の不思議を見つけ、それを説明するための考え方や道具立てだと思ってみてください。

今回は、日本語の発音について考えてみましょう。日本語は、カ行に対してガ行、サ行に対してザ行のように、濁点の有無による対立が見られます。ハ行は、バ行(濁点)、パ行(半濁点)と三者の対立のように思われていますが、実は発音の仕組みを考えると、カ行/ガ行の対立に相当するのは、パ行/バ行なのです。試しに「ぱぴぷぺぽ、ばびぶべぼ」と発音してみてください。両方とも発音するときに唇が一回ずつ閉じたと思います。一方、「はひふへほ」は口を開けたままでもなんとか発音できるでしょう。つまり、発音時の口の動かし方から言えば、ハ行はパ行/バ行とはちょっと違うのです。

ハ行が仲間外れであるというのは、私たちが使うオノマトペ(擬声語)にも反映されています。日本語のオノマトペには、「さらさら」(肌触り)や「とろとろ」(粘り気)に対して、「ざらざら」「どろどろ」のようなペアが見つかる場合があります。前者は心地よさ、かわいらしさが感じられやすく、後者は不快感や荒々しさが感じられます。ハ行、バ行、パ行のオノマトペを考えると、「ぺろぺろ/べろべろ」(なめる音)と「ぱくぱく/ばくばく」(食べる音)のように、快/不快のペアとなるのはパ行とバ行です。発音の仕組みがパ行/バ行と異なるハ行は、オノマトペの上でもおもしろい違いを見せます。「へろへろ」(疲れ)は「ぺろぺろ/べろべろ」とは無関係ですし、「はくはく」は「ぱくぱく/ばくばく」に対応しないどころか、そもそも意味をなさない表現です。

このように、今までわかっていたつもりの言葉を新しい視点から捉えることができるのが、言語学のおもしろさです。発音については以下の記事にも書いているので、よかったら見てみてください。

関連記事:
発音からみることばのおもしろさ ― 「がっきゅうぶんこ」となぜ言えない?
発音からみることばのおもしろさ2 ― 否定のin-のバリエーション
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2015年08月31日

夏の思い出

7月後半から8月にかけては、なんだかいろんなことがありました。イギリスに行ったり、勉強会を開いたり、研究会のお手伝いをしたり、学会発表の準備をしたり。

そういえば、この時期にあまり仕事をしないでいられるのも久しぶりでした。自分の場合、博士課程に入る前から働いていて、高校の非常勤講師や河合塾(K会というコース)では夏期講習も担当していたため意外と8月も何らかの授業をすることがありました。今年はそういうのがまったくなかったので、わりと図書館のために大学行ったりもできたましたし、ただボーっとする時間もあったりで贅沢な時間でした。今後の人生どうしていきたいかなど考えるきっかけもあって、落ち着いた時間も必要ですね。秋はけっこう忙しくなりそうなので、来年以降のことも見据えつつ、計画的に進められればと思います。
ラベル:日記
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2015年07月12日

英語学習に便利なウェブサイト(3):学習方法とテスト作成方法

英語学習に便利なウェブサイトを紹介する記事の第3弾です。第1弾は無料で音声または映像が利用できて、さらにその書き起こしが手に入るもの、第2弾は医学・医療分野に限定したものを見ましたが、第3弾は科学記事を扱ったものを紹介します。科学記事としては、第1弾ですでにScientific Americanを紹介していますが、今回はそれと比較しながらふたつのウェブサイトを見ることにします。そのうえで、複数のウェブサイトを利用した英語学習法や英語テストの作り方を考えてみます。

Science Update
○最新の科学情報についての簡単な解説。音声とその書き起こしから構成されている。
○Scientific Americanの60-second Scienceの音声は、1分(60秒)と言いながら実際には2分前後のものもあるのに対して、こちらは確実に1分に収められているので、さらに手軽に英語に触れることができる。
○毎回研究者(論文の著者)本人の声が聴けるのが特徴。もとの論文へのリンクなどはないので、別途検索が必要。

Science Daily
○科学情報について、文字のみの記事または映像の二つの形式で紹介。映像に書き起こしはない。
○Health、Physical/Tech、Environment、Soceity/Educationのジャンルに分かれている。各ジャンルはさらに細分化されて記事・映像がまとめられている。
○Story Source(もとになった研究機関の発表などへのリンク)、Journal Reference(もとになった論文が掲載されている雑誌へのリンク)があるのも便利。
○スマートフォン向けに最適化された画面が用意されており、アプリ版もある(App SoreGoogle Play)。

以上のように、科学記事を紹介するウェブサイトが複数あるわけですが、これは英語を勉強したり、英語教材を作成する上で効果的に活用できると思います。たとえば、以下の二つの記事の抜粋を見てみましょう。

[A] Scientific American 60-second Science "Animals Can Be Given False Memories"
Scientists trained bumblebees to expect a droplet of sugar water from two artificial flowers: one that was solid yellow, the other looking like an archery target of black and white rings. A few minutes later, (1)the insects were allowed to choose between those two flowers and a third one that had yellow rings, (2)a combo of the previous patterns. In this short-term test, the bees correctly showed a preference for the petals they’d seen had the sweet stuff.

[B] Science Daily "Bumblebees make false memories, too"
To find out, Chittka and Hunt first trained bumblebees to expect a reward when visiting a solid yellow artificial flower followed by one with black-and-white rings or vice versa. During subsequent tests, (1')bees were given a choice between three types of flowers. Two were the yellow and the black-and-white types they'd seen before. The third type of flower had yellow-and-white rings, representing (2')a mixed-up version of the other two. Minutes after the training, the bees showed a clear preference for the flower that most recently rewarded them. Their short-term memory for the flowers was good.

[A] はScientific American 60-second Scienceから、[B] はScience Dailyから取ってきました。(1)や(2)などの番号や下線はこちらで加えています。どちらもbumblebee(マルハナバチ)の記憶に関する研究を紹介していますが、用いられている表現はある程度異なることがわかります。そのため、同じ内容を伝える複数の表現を知ることができたり、何度も同じ語に触れることで語彙を定着さえることが期待できます。(同じ内容を言い換えることについては、以前「英語で論文を書く(2):同じ表現を何度も使わないために」でも取り上げました。)

たとえば、(1) と (1') を見ると、(1) に出てきた (the insects were) allowed to choose between... という表現は、(1') の (bees were) given a choice between... とも言い換えられることが学べるでしょう。また、(2) a combo of the previous versionsは、(2') a mixed-up version of the other twoに対応していることがわかります。

今度は授業で [A] を扱ったことを想定して、そのテストをつくることを考えてみましょう。リーディングテストで授業で扱った文章を繰り返し出題する以外にどんな方法があるか、というのはなかなか悩みどころだと思います。これに関して、印南洋氏は「そのままの本文の後に本文の要約を空欄補充式で提示」するというやり方を紹介しています(『英語教育』2014年9月号, p. 62)。

これを実践するにあたって、上記のように [A]、[B] のような同一テーマの英文を手に入れることができると非常に便利です。たとえば、[A] を提示したあとに [B] の一部を空所にして、穴埋め問題 [B'] を行うことができます。以下のように、空所 (ア)、(イ) を用意して指定した文字から始まる語を [A] から抜き出す、という問題をつくってみました。

[B'] 穴埋め問題
To find out, Chittka and Hunt first trained bumblebees to expect a reward when visiting a solid yellow (ア. a     ) flower followed by one with black-and-white rings or vice versa. During subsequent tests, bees were given a choice between three types of flowers. Two were the yellow and the black-and-white types they'd seen before. The third type of flower had yellow-and-white rings, representing a mixed-up version of the other two. Minutes after the training, the bees showed a clear (イ. p     ) for the flower that most recently rewarded them. Their short-term memory for the flowers was good.


すると、[A] の文章を参照しながら [B'] の問題を解くことになるので、[A] の復習にもなると思います。[A] を十分わかっている学生であれば空所に必要な語をすぐに書いてそれを [A] で確認することができますし、[A] の勉強が不十分だった学生でもその場でがんばればなんとか解答にたどりつく可能性があります。わからなければあきらめるしかない問題とは違って、そういうチャンスがあるのはおもしろい問題かなと思います。ちなみに、解答は (ア) artificial、(イ) preferenceです。

というわけで、今回はScience UpdateとScience Dailyを紹介したうえで、ウェブ上の複数の科学記事を利用した英語学習、英語テストについて考えてみました。今後も英語学習や英語の授業に使えるウェブサイトを探していきたいと思います。

参考文献
印南洋. 2014.「リーディングテストの作成方法」『英語教育』第63巻第6号(9月号), 62-63.

関連記事:
英語学習に便利なウェブサイト(1)
英語学習に便利なウェブサイト(2)
英語学習に便利なアプリ
英語で論文を書く(2):同じ表現を何度も使わないために
ラベル:語学 英語教育
posted by ダイスケ at 00:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 学習・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月01日

5月の思い出

5月も終わって、大学の二学期制の授業はその半分が終わったことになります。例年はもう半分終っちゃったか、と思うことが多いのですが、この5月はいろんなことがあって、ゴールデンウィークもけっこう前のことのように感じます。

もちろん一番の思い出は五月祭です。前に告知した通り、東大の五月祭で言語学喫茶というのを出店しました。ちょっと珍しい海外の飲み物や軽食を提供しながら、言語学を紹介するポスターがあったり、楔形文字を書く体験ができたり、いろんな言語のあいさつ講座があったり。幸い、いずれも好評だったようで、うれしく思います。とても多くの人に来ていただけて、二日間盛況でした。特に楔形文字の体験は人気で、順番待ちがあるぐらいでした。企画の中心は学部生の後輩だったので、自分はそれのお手伝いをしただけですが、関わらせてもらってよかったなと思っています。

ポスター自分も一つ作って展示していたのですが、喫茶業務の合間に立ち止って見てくださると話をしたりしました。一日目にポスターを写真に撮って帰る方もいたので、二日目は持ち帰り用の縮小版ポスターを用意したのですが、50部用意して足りなくなるぐらいでした。多くの人に興味をもっていただけたようで、本当にありがとうございました。言語学の学会でもポスター発表という形式があるのですが(決められた時間にポスター展示をして、興味をもってくれた人に解説したりその場で質問に答えたりしながらやる学会発表)、ポスター発表で50部もハンドアウトを配ることはないので、びっくりしました。

他大学の知り合いや高校のときの同級生なども来てくれて、ありがたかったです。高校の同級生はもう社会人なので、そういう人に言語学の話をするのはちょっと新鮮でもありました。大学院生になって学園祭に参加できると思っていなかったので、久しぶりに大学生のような気分でとても楽しかったです。

東大の言語学研究室は、過去にも何度か言語学喫茶をやっていて、来年もやるかどうかはまだわかりませんがきっとまたやることがあると思うので、そのときはまたお知らせできればと思います。

関連記事:
東大五月祭で言語学喫茶やります!
ラベル:日記
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