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2009年03月07日

Metaphors We Live By 第2章

Metaphors We Live Byの第2章。
前回も書いたようにサークルの読書会として本書を扱っている。他のメンバーにも好評のようでよかったよかった。

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2. The Systematicity of Metaphorical Concepts
Because the metaphorical concept is systematic,
the language we use to talk about that aspect of the concept is systematic.(p. 7)


メタファーから成り立っている概念には体系があるからこそ、その概念のメタファーによって表されている側面について言及する言語も体系だっているのである。たとえば、ARGUMENT IS WAR〈議論とは戦争である〉というメタファーでは、戦争の語彙がその戦闘的側面に語る際に体系的に使われる。これは、戦闘という概念のネットワークの一部が、議論という概念の一部を特徴づけ、言語がそれにならうからである。そのため、メタファーによる言語表現をみることで、メタファーに基づく概念の本質、そしてメタファーに基づく私たちの活動の本質を理解することができる。今度はTIME IS MONEYの例をみてみよう。

TIME IS MONEY〈時間は金である〉
You’re wasting my time.〈浪費する〉
This gadget will save you hours.〈節約する〉
I don’t have time to give you.〈持つ、あげる〉
How do you spend your time these days?〈費やす〉
That flat tire cost me an hour.〈かかる〉
You don’t use your time profitably.〈有益に使う〉
I lost a lot of time when I got sick.〈失う〉

時間は貴重な品物であり、限りある資源であり、お金である。電話の通話単位、時間給、ホテルの宿泊料金、ローンの利子などがそうだ。これらは近代の産業社会にはじめてあらわれたものであり、あらゆる文化にみられるわけではない。時間が貴重な品物であり、限りある資源であり、お金であるかのように行動している事実に対応して、時間をそのようなものだと考えているのだ。

TIME IS MONEY、TIME IS A LIMITED RESOURCE〈時間は限りある資源である〉、TIME IS A VALUABLE COMMODITY〈時間は貴重な品物である〉はすべてメタファーによって成り立つ概念である。これらは下位範疇にわかれる一つの体系をなしている。こうした下位範疇の関係が、メタファーの間の含意関係の特徴なのである。TIME IS MONEYは、そうした体系全体の特徴を説明するもっともはっきりした例である。メタファー間の含意関係はメタファー的概念の一貫した体系を示し、さらにそうした概念に対応するメタファー的表現の一貫した体系が示すのである。

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翻訳のリンクも。

レトリックと人生 [単行本] / ジョージ・レイコフ, マーク・ジョンソン, 渡部 昇一, 楠瀬 淳三, 下谷 和幸 (著); 大修館書店 (刊)
レトリックと人生 [単行本]
ジョージ・レイコフ, マーク・ジョンソン
渡部 昇一他訳
大修館書店


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posted by ダイスケ at 11:02| Comment(0) | 言語学の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月21日

Metaphors We Live By 第1章

ちょっと難しめの本をみんなで読む、つまり読書会をするようなサークルは今は少ないと思う(昔はあったのかもしれないけど)。うちの大学にもそうしたサークルは少なく、自分はその珍しいサークルに所属している。

今回自分が読書会の担当者で本の要約をしたので、せっかくなのでここに載せておくことにした。扱うテキストはこれ。
Lakoff, G. and Johnson, M. 2003. Metaphors We Live By: With A New Afterward. The University of Chicago Press.

今回は第1章のみ。
認知言語学の基本文献なので、それに興味がある人の参考になれば幸いです。
日本語にするにあたって、翻訳も参照しています。

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1. Concepts We Live By

The essence of metaphor is understanding and experiencing one kind of thing in terms of another.


多くの人々にとってメタファーとは詩的創作と美辞麗句の装置であって、普通のことばというよりは特別なことばづかいである。また、それは言語だけに関わる特徴であり、思考や行動というよりはことばの問題だとされている。しかし、メタファーは日常生活に広くゆきわたっており、それは単に言語だけでなく私たちの思考や活動にまで浸透しているのである。私たちのいつも用いる概念体系は、思考の点からみても行動の点からみても根本的にメタファー的性質を備えている。そして、概念が日常的な活動によって構造化されているならば、考え方や経験、日々の営みはメタファーの問題ということになる。普段意識されることがなく実体がつかみにくい概念体系を把握する重要な手段は、言語を観察することである。

概念がメタファー的であり、そうした概念が日常の活動に構造を与えていることを理解するために、まずARGUMENT〈議論〉という概念とその概念のメタファーであるARGUMENT IS WAR〈議論とは戦争である〉を取り上げよう。

ARGUMENT IS WAR〈議論とは戦争である〉
Your claims are indefensible.〈守りようがない=弁護の余地がない〉
He attacked every weak point in my argumentation.〈弱点を攻撃する〉
His criticisms were right on target.〈正しく的を射る〉
I demolished his argument.〈議論を粉砕する〉
I've never won an argument with him.〈議論に勝つ〉
You disagree? Okay, shoot!〈撃ってみろ=言ってみろ〉
If you use that strategy, he'll wipe you out.〈戦略、やられる〉
He shot down all of my arguments.〈撃破=論破〉

重要なことは、単に戦争用語を用いて議論のことを語っているのではないということである。議論には現実的に勝ち負けがあり、相手は敵と見なされる。相手の立脚点(陣地)を攻撃し、自分のそれを守る。議論の中で行うことの多くは、部分的ではあるが戦争という概念によって構造を与えられているのである。

メタファーの本質とは、ある事柄を別の事柄を通して理解し、経験することである。議論は戦争という観点によって理解され、行われ、言及される。つまり、概念はメタファーによって構造化され、行動もメタファーによって構造化され、したがって、言語もメタファーによって構造化されるのである。

さらにいえば、これが議論をし、議論について語る日常的なやり方ということだ。それは詩的な、思いつきの、修辞的なことばではない。文字通りのことばである。戦争用語で議論を語るというのは、議論をそのように理解しているからである。

メタファーというのは、ただ単に言語の、つまりことばづかいの問題ではない。それどころか、人間の思考過程は大部分メタファーによって成り立っているのである。人間の概念体系の中にメタファーが存在しているからこそ、言語表現としてのメタファーが可能なのである。

Metaphors We Live by [ペーパーバック] / George Lakoff (著); Univ of Chicago Pr (T) (刊)
Metaphors We Live by [ペーパーバック]
George Lakoff and Mark Johnson
University of Chicago Press


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