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2013年11月30日

英語で論文を書く(2):同じ表現を何度も使わないために

英語で論文を書いていて、内容に問題があるわけではないのに、立ち止まらざるを得ないときがある。同じ表現を何度も使いそうになっているときだ。

英語では、同じ内容を言うにしても、別の表現で言い換えることが多い。日本語の場合もそうかもしれないが、英語のほうがその傾向は強いだろう。しかし、一度使った表現を繰り返さないで別の表現を使うというのは、なかなか難しい。ちょうどよい表現を探すのに、けっこう時間がかかるものだ。

英文中でどのように表現の言い換えがなされているのか、実際に少し見てみよう。自分で英語を書くときのヒントになるはずだ。英語で論文を書くという点でいえば、今回の記事は理系の人にも見てもらえるかもしれないので、理系寄りの文章を取り上げてみる。以下の文章は、SCIENTIFIC AMERICAN 60-Second ScienceというウェブサイトのDo These Microbes Make Me Look Fat?という記事から。いくつかの単語には日本語訳を添えておく。

Researchers found that mice given gut microbes from obese humans became fatter than those that got microbes carried by slim folks. When the husky and lean mice shared microbes with each other, the bigger ones picked up some of the beneficial gut flora?and had improved metabolisms.

gut: 腸 microbe: 微生物 obese: 太り過ぎの husky: 体格のよい lean: やせた flora: 細菌叢(細菌の集合) metabolism: 代謝


このわずか1パラグラフの中にも、同じ内容を別の表現で言い換えている箇所がいくつも見つかる。

(1) mice given gut microbes from... / those that got microbes carried by...
(2) obese humans / slim folks
(3) obese / husky
(4) slim / lean
(5) gut microbes / gut flora

(1)であれば、mice given gut microbes from... と書いた後にthose given gut microbes from...と書いたとしても内容としては問題ないだろうが、そのような単純な繰り返しは避けられ、giveと意味上関連するgetが用いられている(AにBが与えられる(be given)=AはBを手に入れる(get))。(2)ではobese humansとの対比でslim humansと言ってもよさそうだが、実際にはhumansの代わりにfolksが使われている。さらに、(2)で出てきた形容詞obeseとslimは、それぞれ似ている意味の語である(3)huskyと(4)leanに置き換わっている。(5)gut microbesとgut flofaもほぼ同じ内容と考えてよさそうだ。

(2)のように、humansをfolksに言い換える場合なら、類語辞典(シソーラス)を見ればよいかもしれない。しかし、(1)のように単純な単語レベルではない言い換えは、なかなか思いつかない。うまい言い換え表現を見つけたら線を引いたりして使える英語表現のレパートリーを増やしていくというのが、地道だが確実な方法だ。

また、huskyは「体格のよい、がっしりした」という、どちらかといえば肯定的な評価を伴う語(アメリカ英語)だが、この文脈では肯定的な意味合いは感じられない。言い換えにあたっては、このような評価的な側面が捨象されてしまう場合もある。そういった点を意識しながら英文を読むのも勉強になる。

あとは、自分でよく使いがちな表現を予め覚えておいて、それに似た表現を見つけたらメモするのも効果的だ。自分自身についていえば、in terms of...をよく使うことに気づいたので、それ以外にどんな表現があるのか気にするようになった。そうやって気にしていくと、代用できそうな表現がいくつも見つかってくる。たとえば、以下のような表現だ。

(6) in the light of...
(7) in relation to...
(8) from the perspective of...
(9) with respect to...

おかげで、最近はin terms of...に頼りすぎずにすんでいると思う。もちろん、これらの表現がいつでも置き換え可能なわけではないだろうから、いっしょに使う動詞なども合わせて確認するようにしている。

高校までの英語の授業では、名詞の繰り返しを避けるための代名詞(it、one、that/thoseなど)については習う。上記に取り上げた英文でもmiceがthoseやonesに置き換わっており、こうした代名詞の使い方を学ぶのは大事なことだ。しかし、今回紹介したようなタイプの言い換えについては、あまり学ぶ機会がない。大学で英語を書くようになってみてからぶつかる壁かもしれない。類語辞典やGoogleの検索で表現を探すという、論文を書くときの工夫はもちろん必要だが、普段英語を読んでいるときにできること、つまり、書くときのことを意識して表現のストックを増やしておくことも、表現力を磨く上で重要なのではないかと思う。

ちなみに、SCIENTIFIC AMERICAN 60-Second Scienceは、理系で使う英語に触れるにはとても便利。1分間でそれなりにまとまった内容を学べて、しかもPodcastでどこでも勉強できるので、ぜひ利用してみてください。

関連記事:
英語で論文を書く(1):外国語で書くからこそ得られるもの

英語で論文を書く(3):形容詞や副詞を有効に使う
英語学習に便利なウェブサイト(3):学習方法とテスト作成方法
ラベル:日記 研究 語学
posted by ダイスケ at 22:31| Comment(0) | 学習・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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