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■大学芋はなんで「大学芋」という名前?「大学」+「芋」=「大学芋」と単純にはいえない。そう考えると、ことばには不思議がいっぱい。「大学芋」をきっかけにことばについて考えるブログです!
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2012年12月23日

「ことば」と「言語」

「言語学」とは何かと問われれば、それは言語を扱う学問なのだが、「言語」という語がわかりづらいこともあって、言語学のイメージが湧かない、とっつきづらいという印象を受けるかもしれない。

「言語」と似ている語に「ことば(言葉)」がある。前者が音読みの漢字から成る漢語で、どこか堅苦しいイメージがあるのに対して、後者が訓読みで日常的にもよく使われる和語であるという違いはあるが、意味はだいたい同じように思われる。たとえば、次のような場合では、「ことば」と「言語」を入れ替えても問題ないだろう。

(1)
a. スイスで使われていることばは何ですか?
b. スイスで使われている言語は何ですか?

その一方で、(2)や(3)では、「ことば」と「言語」は入れ替えできない(*の記号は、例文が不自然であり、容認できないことを表す)。

(2)
a. 昨日、友達に励ましてもらいました。その温かいことばのおかげで、がんばれそうです。
b. 昨日、友達に励ましてもらいました。*その温かい言語のおかげで、がんばれそうです。

次の例はどうだろうか。「ことば」と「言語」のどちらを使っても、日本語の文としてはおかしくないと思われる。

(3)
a. 私のことばは、彼には通じなかった。
b. 私の言語は、彼には通じなかった。

(3a)は二通りの解釈が可能だと思う。ひとつは、「私は日本語で話しかけたけれど、外国人である彼には、私のことば(日本語)がわからなかった」といった解釈である。この場合、(3b)とほぼ同じ意味だと言ってよいだろう。もうひとつの解釈は、「通じない」を「冗談が通じない」における場合と同じような用法と考えて、「私の発言の意義を納得してもらえなかった」ような状況を指すものである。この場合、(3b)に置き換えることはできない。

このようなことを考えると、「ことば」と「言語」は常に同じように使えるわけではないことがわかる。(1)のように、ことばを使用する個々の人をいちいち思い浮かべないで、抽象的にことば全体を捉えるときには、「ことば」も「言語」も用いることができる。一方、(2)を見ると、「ことば」は特定の個人が特定の状況で言ったもの(ある友達が、励ますという目的のために、ある時間にある場所で言った具体的なセリフ)を指すときには、「ことば」は問題ないが「言語」は不向きである。つまり、「ことば」の方が使用範囲が広いのだと言える。(3a)の意味が二通りに解釈可能なのは、その反映である。

冒頭で言語学は言語を扱う学問であると言ったが、そこで扱われる「言語」とは、上記に述べたことを考慮するなら、次のようにまとめることができる。

(4)言語学は、ことばを使用する個々人の活動ではなく、ある共同体が共有している抽象的なものとしてのことばを扱う学問である

では、そのような言語学的な関心をもってことばを眺めると、どのような分析ができるのか。次回は実際に英語の分析をしてみることにする。

続編:マイク・タイソンの発言から考える英語のしくみ
タグ:言語学
posted by ダイスケ at 22:49| Comment(0) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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