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2010年12月23日

Metaphors We Live By 第8章

「Metaphors We Live By」と検索して訪れる方が多いので、第8章以降の内容も少しまとめ直して掲載します。

ここで、Metaphors We Live Byという本について改めて紹介する。本書は、それまで文学や修辞学で扱われてきたメタファーが、実は人間の認知の基本的な営みであり日常の表現に遍在していることを明らかにしたもので、現在「認知言語学」と呼ばれている分野が発展するきっかけにもなった。著者のG・レイコフは言語学、M・ジョンソンは哲学の研究者。

第8章では、メタファーではなくメトニミー(換喩)が扱われている。メトニミーは隣接性に基づく比喩とされている。日本語でも、「今日は鍋を食べよう」と言った場合、「鍋」が指しているのは容器そのものではなく、その容器の中の食べ物であってこれもメトニミーの一種とされる。このように考えると、メトニミーもメタファー同様、あらゆるところで見つけることができる。

*****

8. Metonymy
Metonimic concepts allow us to comceptualize one thing by means of its relation to something else. (p. 39)


存在のメタファーのひとつに擬人法(personification)がある(たとえば、Inflation robbed me of my savings. )。これは次のような例とは区別すべきである。

The ham sandwich is waiting for his check.
〈ハム・サンドイッチが勘定を待っている。〉

この例では擬人法のときとはちがって、ham sandwichが具体的な人間、つまりハム・サンドイッチを注文した人間を指している。このように、ある存在物(ハム・サンドイッチ)を利用して、それに関係する他のもの(ハム・サンドイッチを注文した人間)に言及する方法はメトニミー(metonymy)とよばれている。

メタファーとメトニミーは異なる種類のプロセスを経てできたものである。メタファーは原則的にあるものを他のものを通して理解する方法であり、その第一の機能は理解することである。一方、メトニミーの主な機能は指し示すことである。メトニミーによって、ある存在物を他のものを表すために使うことができる。しかし、メトニミーは単に指し示すだけでなく、理解させる機能も果たしている。たとえば、THE PART FOR THE WHOLE〈部分は全体を表す〉というメトニミーの例では、全体を代表できる部分はたくさんある。その中のどの部分を選ぶかで、全体のどの側面に焦点を当てるかが決まる。あるプロジェクトにおいて、good headsが必要だといった場合、good headsという表現でintelligent peopleを指している。重要なのは部分(head)を使って全体(person)を指しているというよりも、headに関連したひとつの特徴、つまりintelligentを取り上げているとうことだ。メトニミーはメタファーと同じ目的を、いくぶん似ているやり方で果たしている。しかし、メトニミーは、メタファーよりも指し示されるものの特定の側面に焦点を当てるのだ。メトニミーもメタファーと同様、単なることばづかいの問題ではない。メトニミーによって成り立つ概念も、ことばはもちろんのこと、日常の思考や行動の仕方の一部をなしているのだ。

THE FACE FOR THE PERSONというメトニミーがあるが(We need some new faces around here.など)、これは私たちの文化において大きな役割を果たしている。ある人が、息子の写真を見せてくれと頼んで、息子の顔写真を見せてもらえれば満足するだろうが、顔から下の体だけが写った写真を見せられたら満足しないだろう。顔から人を判断し、それに基づいて行動する場合、私たちはメトニミーに基づいて行動していることになる。

メトニミーによって成り立つ概念にも以下に見るように体系性がある。
THE PART FOR THE WHOLE
We don’t hire longhair. 〈長髪=長髪の人〉
The Giants need a stronger arm in right field.〈強い肩=強い肩をもった選手〉

PRODUCER FOR PRODUCT
He bought a Ford.〈フォード(社名)=フォードの作った車〉
He’s got a Picasso in his den.〈ピカソ=ピカソの絵〉

OBJECT USED FOR USER
The sax has the flu today.〈サックス=サックス奏者〉
The buses are on strike.〈バス=バスの運転手〉

CONTROLLER FOR CONTROLLED
Nixon bombed Hanoi.〈ニクソン=ニクソンが命令した軍〉
Ozawa gave a terrible concert last night.〈小澤(指揮者)=小澤が率いる楽団〉

INSTITUTION FOR PEOPLE RESPONSIBLE
You’ll never get the university to agree to that.〈大学=大学の責任者〉
The Army wants to reinstitute the draft.〈軍=軍の責任者〉

THE PLACE FOR THE INSTITUTION
The White House isn’t saying anything.〈ホワイト・ハウス=米国政府〉
Wall Street is in a panic.〈ウォール街=米国金融業界〉

THE PLACE FOR THE EVENT
Let’s not let Thailand become another Vietnam.〈ベトナム=ベトナム戦争〉
Pearl Harbor still has an effect on our foreign policy.〈真珠湾=真珠湾攻撃〉


関連記事:
Metaphors We Live By 第1章
Metaphors We Live By 第2章
Metaphors We Live By 第3章
Metaphors We Live By 第4章
Metaphors We Live By 第6
Metaphors We Live By 第9章
Metaphors We Live By 第11章
認知言語学キーワード紹介(3):メタファーと経験基盤主義
posted by ダイスケ at 16:32| Comment(0) | 言語学の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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