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2010年01月16日

発音からみることばのおもしろさ ― 「がっきゅうぶんこ」となぜ言えない?

言語学にもいろいろな分野があるが、発音を扱うものを音声学(phonetics)という。
音声学についてはずっと苦手意識があったのだが、最近勉強し直したおかげでちょっとずつわかるようになってきた。
今回は、人はどのように音声を出すのかという話をしてみたい。
(音声学でなによりも大事なのは音を実感することなので、実際に発音してみてください)

小学校のころの遊びで、口に指を入れて横に広げた状態で「がっきゅうぶんこ(学級文庫)」と言おうとすると、「がっきゅううんこ」になってしまうというのがあったと思う。
大切なのは、指を入れることではなく口を開けた状態で発音することなのだが、なぜ口を開けたままでは「がっきゅうぶんこ」と言えなくなってしまうのだろうか。

実は、バ行に使う[b]の音は、唇を合わせることで閉鎖をつくり、それを空気が突き破ることで出る音なのだ(これを破裂という)。
だから、口を開けていては[b]が発音できず、「がっきゅううんこ」になってしまう。
逆に言うと、「がっきゅうぶんこ」の[b]以外の音は唇を使わずに発音できるということになる。

人間はいろんな音声を出せるが、発音の中でも特に子音を取り上げる場合、音によって口の中の「どこ」を使うかがちがう。
[b]のように上下の唇を使って出す音を両唇音という。

[b]の他には、マ行の[m]の音も両唇音である。
口を開けたままでは「まみむめも」と言えないことを確かめてみてほしい。

では、[b]と[m]は何がちがうかといえば、子音のもうひとつのポイントである「空気の流れ方」である。
鼻をつまんで「あたま」と発音してみよう。
「ま」のときだけ鼻が振るえているのがわかる。
これは[m]は空気が鼻のほうに流れていることを表している。

ちなみに、風邪をひいて鼻がつまっているときは、うまく鼻に空気を流せない。
鼻声というのは、音声学的には「鼻をうまく利用できていない声」ということになる(上野善道「音の構造」より)。

まとめると、
[b]は上下の唇を使い、破裂によって空気を出すので両唇破裂音という。
[m]も上下の唇を使うが、鼻に空気を流すので両唇鼻音という。

せっかく発音についての知識がついたのだから、実際にどんな分析ができるのか知りたくなるところ。
次の記事では、今回の知識をimpossibleという語に応用してみよう。

参考文献
上野善道. 2004. 「音の構造」 風間喜代三他 『言語学』(第2版) 東京大学出版会.
関連記事:
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タグ:日本語 発音
posted by ダイスケ at 02:17| Comment(0) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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