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2009年09月22日

「冷やす」と「冷ます」2 ― 和語と漢字

以前、「冷やす」と「冷ます」の意味のちがいを考えたが、今度は別の観点からこれらの語を見てみる。

両者を見てまず思い当たるのは、同じ「冷」という漢字を使っていることだ。
「冷」を使う語は他に「冷たい」がある。
ということで、「冷」には三つの読み方があることになる。

日本に漢字が渡来する以前から日本に存在したことばを和語という。
漢字の訓読みは、もともと日本語にあったことばに漢字を当てはめているのだが、これが和語だ。
「冷」の話に戻ると、「ひやす」「さます」「つめたい」という三つの和語に共通の漢字が割り当てられている。
中国語ではこれらを別々に表現する漢字がないということだ。
これは、英語では「兄」と「弟」を別々に表す単語がないのと同じこと。

一方、ひとつの和語に別々の漢字が割り当てられることもある(むしろそのほうが多いと思う)。
「さます」を変換すれば「冷ます」はもちろん、「覚ます」「醒ます」も出てくる。

ここでは、特に後者のひとつの和語に複数の漢字を用いるケースについてもう少し考えてみよう。
「さます」の場合、普段から漢字を使い分けているせいか、それぞれの意味はかなり異なるように思える。
しかし、次の例を見ると、そうとも言えないことがわかる。

(1)熱湯を冷ます
(2)眠気を覚ます
(3)酔いを醒ます

(1)は温度を下げて熱くない状態に変化させることだが、これをもとに考えよう。
人間の体温が上がると頭がボーっとする。
この頭がボーっとしてフラフラする状態は、眠い状態や酔っている状態と似ている。
(医学的はことはわからないけど、実際体温は上がっているのでは?)

だとすると、眠っている状態や酔っている状態(≒熱い)から、意識のはっきりした(≒熱くない)状態への変化を表す(2)(3)との共通点も見えてくる。
異なって見える「冷」と「覚」の漢字が同じ「さます」に割り当てられることも納得できる。
一種のメタファーだと見なしてよいだろう。
(メタファーについてはMetaphors We Live Byの記事を見てください)

パソコンのおかげで気軽に漢字変換できるようになったが、もともとの和語はどんな意味なのか考えると日本語についての理解が深まるように思う。
また、もともとの和語は同じなのだから、あまり漢字の使い分けに神経質になる必要はないかもしれない。
たとえば、「興奮をさます」は辞書の定義に従えば「興奮を冷ます」となり、「興奮を覚ます」とは書かないことになっている。
しかし、「覚ます」がおかしいと思わない人がいてもいいし、それにもそれなりの動機があるといえるだろう。
ラベル:日本語 類義語
posted by ダイスケ at 03:23| Comment(0) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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