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2009年08月22日

「冷やす」と「冷ます」 ― 似ていることばのちがいを探る

この前、「笑っていいとも!」を見ていたら「知ってるようで知らない日本語」というのをやっていた(8月13日)。
外国人が抱いた日本語の疑問に答えるコーナーだ。

そのときの問題のひとつが
「『冷やす』と『冷ます』のちがいは何か?」だった。

こういう問題はおもしろいと思う。
特別な知識が必要なく、考えればそのちがいに気づけるかもしれないからだ。

番組ではゆっくり考える間もなく以下の模範解答が出されてしまった。
「冷やす」は元の温度が何度であれ、とにかく温度を下げること。
「冷ます」は一度高くなった温度を下げること。


この問題の答えはとりあえず出てしまったが、こうした似ていることば、つまり類義語(synonym)のちがいはどのようにしたらわかるのか。
有効な手段は、一方は可能でも、他方は不可能な場合、あるいは一方と他方で意味の差が明確になる場合を見つけることだ。

この場合は、「冷やす」が使えるが「冷ます」はおかしいケースを考えればいい。

(1)
a. キンキンに冷やしたビール
b.*キンキンに冷ましたビール

(1a)は問題ないが、(1b)はおかしく感じられる。
(*は文法的に許されないものを指す。文法判断は自分で行った)

「キンキンに」が冷たい状態を強調する表現だとしよう。
すると、ある物体を「冷やし」たらそれは冷たくなるのに、「冷まし」てもそれが冷たくなることを意味するとは限らないことが、「キンキンに」で修飾できるか比べることでわかる。

次の例のうち、アイスコーヒーを連想させるのは(2a)だろう。

(2)
a. 冷やしたコーヒー
b. 冷ましたコーヒー

(2b)は猫舌の人のために熱くない状態にしたときなどに適しているが、それはつまり「冷ます」はもとが熱かったことも伝えるからである。

というわけで、(1)や(2)のような例を思いつければ、自分でもちがいに気づくことができる。

(1)(2)を考えたら、次のような説明のほうがわかりやすいかなと思った。
「冷やす」も「冷ます」も温度を下げることを意味するが、「冷やす」はその結果冷たくなることを含意するが、「冷ます」はもともとが熱かったことを含意する点が異なる。

ことばが話せるのとそこにあるルールが説明できるわけではないこと、また、同じようなことばでも使い分ける基準を無意識ながらももっていることに気づくにはちょうどよい問題だったと思う。
posted by ダイスケ at 03:28| Comment(0) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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