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2009年02月21日

Metaphors We Live By 第1章

ちょっと難しめの本をみんなで読む、つまり読書会をするようなサークルは今は少ないと思う(昔はあったのかもしれないけど)。うちの大学にもそうしたサークルは少なく、自分はその珍しいサークルに所属している。

今回自分が読書会の担当者で本の要約をしたので、せっかくなのでここに載せておくことにした。扱うテキストはこれ。
Lakoff, G. and Johnson, M. 2003. Metaphors We Live By: With A New Afterward. The University of Chicago Press.

今回は第1章のみ。
認知言語学の基本文献なので、それに興味がある人の参考になれば幸いです。
日本語にするにあたって、翻訳も参照しています。

*****

1. Concepts We Live By

The essence of metaphor is understanding and experiencing one kind of thing in terms of another.


多くの人々にとってメタファーとは詩的創作と美辞麗句の装置であって、普通のことばというよりは特別なことばづかいである。また、それは言語だけに関わる特徴であり、思考や行動というよりはことばの問題だとされている。しかし、メタファーは日常生活に広くゆきわたっており、それは単に言語だけでなく私たちの思考や活動にまで浸透しているのである。私たちのいつも用いる概念体系は、思考の点からみても行動の点からみても根本的にメタファー的性質を備えている。そして、概念が日常的な活動によって構造化されているならば、考え方や経験、日々の営みはメタファーの問題ということになる。普段意識されることがなく実体がつかみにくい概念体系を把握する重要な手段は、言語を観察することである。

概念がメタファー的であり、そうした概念が日常の活動に構造を与えていることを理解するために、まずARGUMENT〈議論〉という概念とその概念のメタファーであるARGUMENT IS WAR〈議論とは戦争である〉を取り上げよう。

ARGUMENT IS WAR〈議論とは戦争である〉
Your claims are indefensible.〈守りようがない=弁護の余地がない〉
He attacked every weak point in my argumentation.〈弱点を攻撃する〉
His criticisms were right on target.〈正しく的を射る〉
I demolished his argument.〈議論を粉砕する〉
I've never won an argument with him.〈議論に勝つ〉
You disagree? Okay, shoot!〈撃ってみろ=言ってみろ〉
If you use that strategy, he'll wipe you out.〈戦略、やられる〉
He shot down all of my arguments.〈撃破=論破〉

重要なことは、単に戦争用語を用いて議論のことを語っているのではないということである。議論には現実的に勝ち負けがあり、相手は敵と見なされる。相手の立脚点(陣地)を攻撃し、自分のそれを守る。議論の中で行うことの多くは、部分的ではあるが戦争という概念によって構造を与えられているのである。

メタファーの本質とは、ある事柄を別の事柄を通して理解し、経験することである。議論は戦争という観点によって理解され、行われ、言及される。つまり、概念はメタファーによって構造化され、行動もメタファーによって構造化され、したがって、言語もメタファーによって構造化されるのである。

さらにいえば、これが議論をし、議論について語る日常的なやり方ということだ。それは詩的な、思いつきの、修辞的なことばではない。文字通りのことばである。戦争用語で議論を語るというのは、議論をそのように理解しているからである。

メタファーというのは、ただ単に言語の、つまりことばづかいの問題ではない。それどころか、人間の思考過程は大部分メタファーによって成り立っているのである。人間の概念体系の中にメタファーが存在しているからこそ、言語表現としてのメタファーが可能なのである。

Metaphors We Live by [ペーパーバック] / George Lakoff (著); Univ of Chicago Pr (T) (刊)
Metaphors We Live by [ペーパーバック]
George Lakoff and Mark Johnson
University of Chicago Press


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認知言語学キーワード紹介(3):メタファーと経験基盤主義
posted by ダイスケ at 03:04| Comment(2) | 言語学の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
すごく助かってます!!
ありがとうございます!!!

Posted by 佐藤 at 2014年10月30日 11:14
佐藤さん、コメントありがとうございます。
Metaphors We Live byを読んだのはもうだいぶ前で、説明がこなれていないところがあるかもしれませんが、お役に立つところがあればうれしくと思います。よかったら、ほかの記事ものぞいてみてくださいね。
Posted by ダイスケ at 2014年10月31日 22:07
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