英英辞典は大きく2種類に分けることができる。ひとつは英語を母語とする人の使用を想定した、〈説明が短く簡潔で、説明に使われている語彙レベルが高い〉もの。もうひとつは外国語として英語を勉強する人向けの、〈平易な単語で丁寧に説明されている〉もので、学習英英辞典などと呼ばれることもある。
英英辞典が効果を発揮する場面のひとつは、英語を話したり書いたりという発信力を高めるために使うときだろう。たとえば、polluteという語を英和辞典で引くと「汚染する」と書いてある。英英辞典ではmake air , water, or land dirty(空気、水、土壌を汚い状態にする)のような説明が載っており、中学生が習うような英語が含まれている(実際にはもう少し説明が加わっているが)。polluteのようにある程度語彙のレベルが高いものも、このように簡潔に表現できることを知れば、その語の理解が深まる。まだ慣れていない語の場合、会話中にうっかりど忘れしたら慌ててしまうが、英英辞典で自分の知っている範囲で言い換えられた表現を見ておけば、その場を乗り切ることができるだろう。また、make air cleanのように定義に出てきた表現を応用した言い方も思いつきやすくなる。辞書といえば、わからない言葉が出てきたときに引くものだと思いがちだが、英英辞典の場合は、すでにある程度知っている単語を引いてみることで得られるものが多いと言える。
一方、ある単語の意味を全く知らなければ、まずは英和辞典を引くのが近道だ。たとえば、syringeという語について、英英辞典では「針を刺して体内に液体の薬を入れたり血を少量抜き取るための道具」のような説明が英語で書いてあるが、この場合は英和辞典で「注射器」という説明を見たほうがよくわかる。
したがって、ある程度英語学習が進んだ場合でも英英辞典だけではなく、英和辞典とうまく使い分けるのがベストということになる。
学習英英辞典もたくさんの種類が出ていて、Longman Dictionary of Contemporary EnglishやOxford Advanced Learner’s Dictionaryなどが、説明がわかりやすいなと思っていて、個人的にはよく使っている。最近は、ウェブ上でもそれらの辞書が使えるし、スマートフォンのアプリ版も出ているので、自分にあった辞書、アクセス方法を探してみるのも楽しいと思う。

Longman Dictionary of Contemporary English
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