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2015年09月07日

ハ行、バ行、パ行の発音とオノマトペ

私が大学院でやっているのは、言語学分野での英語研究なのですが、言語学というと、何やらとっつきづらく感じられるかもしれません。でもそんなに難しく考えないで、とりあえず普段使っている言葉の不思議を見つけ、それを説明するための考え方や道具立てだと思ってみてください。

今回は、日本語の発音について考えてみましょう。日本語は、カ行に対してガ行、サ行に対してザ行のように、濁点の有無による対立が見られます。ハ行は、バ行(濁点)、パ行(半濁点)と三者の対立のように思われていますが、実は発音の仕組みを考えると、カ行/ガ行の対立に相当するのは、パ行/バ行なのです。試しに「ぱぴぷぺぽ、ばびぶべぼ」と発音してみてください。両方とも発音するときに唇が一回ずつ閉じたと思います。一方、「はひふへほ」は口を開けたままでもなんとか発音できるでしょう。つまり、発音時の口の動かし方から言えば、ハ行はパ行/バ行とはちょっと違うのです。

ハ行が仲間外れであるというのは、私たちが使うオノマトペ(擬声語)にも反映されています。日本語のオノマトペには、「さらさら」(肌触り)や「とろとろ」(粘り気)に対して、「ざらざら」「どろどろ」のようなペアが見つかる場合があります。前者は心地よさ、かわいらしさが感じられやすく、後者は不快感や荒々しさが感じられます。ハ行、バ行、パ行のオノマトペを考えると、「ぺろぺろ/べろべろ」(なめる音)と「ぱくぱく/ばくばく」(食べる音)のように、快/不快のペアとなるのはパ行とバ行です。発音の仕組みがパ行/バ行と異なるハ行は、オノマトペの上でもおもしろい違いを見せます。「へろへろ」(疲れ)は「ぺろぺろ/べろべろ」とは無関係ですし、「はくはく」は「ぱくぱく/ばくばく」に対応しないどころか、そもそも意味をなさない表現です。

このように、今までわかっていたつもりの言葉を新しい視点から捉えることができるのが、言語学のおもしろさです。発音については以下の記事にも書いているので、よかったら見てみてください。

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posted by ダイスケ at 17:14| Comment(2) | TrackBack(0) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする