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2014年04月30日

英語で論文を書く(3):形容詞や副詞を有効に使う

自分で英語を書いてそれを読み直してみると、とても貧弱な文章に見えてがっかりすることがある。文章に何かが足りないように思えてしょうがない。最近、その原因の一つは、形容詞や副詞、あるいはそれに相当する語句がうまく利用できていないからかもしれないと気づいた。

英語の文が成立するにあたって、通常名詞や動詞は必須要素である(命令文Look!や感嘆文How tall!などはとりあえず除いて考える)。学習上の重要なポイントとして指導されるし、辞書で用法を確認する必要性も認識しやすい。

その一方で、形容詞や副詞はなくても文が成立する場合が多い。たとえば、以下の英文には形容詞・副詞は使われていないが、文法上特に問題のない文である。

(1) There is a difference between X and Y. (XとYには違いがある)
(2) This phoenomenon is treated under the heading of X. (この現象はXという項目のもとで扱われている)

しかし、文法上なくてもよいからといっても、あるとないとでは大きく印象が違う。(1, 2)と(1', 2')を比べてみてほしい。

(1') There is a {crucial/salient/slight} difference between X and Y.(XとYには{決定的な/際立った/わずかな}違いがある)
(2') This phenomenon is {usually/generally/traditionally} treated under the heading of X.(この現象は{通例/一般的に/伝統的に}Xという項目のもとで扱われている)

(1)の場合「違いがある」とだけ言われても、だから何なのかという気がしてしまうが、(1')のようにその違いがcrucial(決定的)だとかslight(わずか)だと言われれば、読み手に伝えるのに十分な意味が付加されるし、前後の文章とのつがなりも明確になってくるだろう。たとえば、「決定的な違いがある」ならば、それまでこの違いに気づいていなかった従来の研究を批判し、それを説明するための新説を提示するのかもしれないと読み手も心の準備ができる。

また、(2)はこれでも問題はないが、generally(一般的に)などと付け加えておけば、特定の分野の先行研究のレビューをしているようなことが伝わりやすいのではないだろうか。実際に論文を読んでいても、(2')のように副詞が入っていることが多いように思う。

形容詞・副詞が論文の中で果たす役割は思いのほか大きい。しかし、いざ使おうと思うとちょうどよいものが思いつかなくて困る。しかも、似ている意味のものが複数あって選択に悩んだり、意外と名詞や動詞との相性が重要で必ずしも自由に修飾できなかったりする。名詞や動詞に比べると形容詞・副詞は十分に注意が行き届かないことが多いが、論文で見かけたときに意識的に使い方を学んでいくのが大切だろう。これらの修飾語句を有効に使って、読みやすく伝わりやすい論文を書いていきたい。

*****

今回の記事を書いていて、高校のころに習っていた予備校の先生を思い出しました。鬼塚幹彦先生といって、代々木ゼミナール(代ゼミ)で授業を受けていました。代ゼミで授業を受ける前に鬼塚先生の本を読んでいたのですが、自分にとってその本との出会いがその後の英語への接し方を大きく変えたと言っても過言ではありません。もしかしたら、鬼塚先生がいなければ、大学院で英語の研究をするほど英語に興味をもっていなかったかもしれません。それぐらい影響を受けたのですが、そのあたりの話はいずれ機会があればしたいと思います。今回は、先生の著書から記事に関係するところを引用するのに留めておきます。

 形容詞と副詞は(形容詞が文の補語になる場合は別として)文の構成要素ではありません。
形容詞と副詞がなくても文が成立する
ということです。
「いつ」「どこで」「どのように」の部分をはずして考える
この作業から英語の学習を始めるのはこのためです。(中略)
 不可欠ではないのに形容詞・副詞がある。それは、英文の意味の色づけをするだけでなく、最終的な意味を決める、という実は重要な役割を果たしているからです。
 初歩の段階で取り除いてしまった形容詞・副詞に対する思いやりのようなもの、これが芽生えてきたとき、英語学習の終点も間近です。(p.106)

鬼塚幹彦. 2003. 『鬼塚の最強の英文法・語法3 入試実践編』学研.

「思いやり」という表現がいいですね。久しぶりに鬼塚先生の本を開きましたが、今になってやっと鬼塚先生のことばの意味がわかってきたように思います。

レベルアップ問題集 鬼塚の最強の英文法・語法 3.入試実戦編 (レベルアップVシリーズ) [単行本] / 鬼塚 幹彦 (著); 学習研究社 (刊)
鬼塚幹彦
レベルアップ問題集 鬼塚の最強の英文法・語法 3.入試実戦編 (レベルアップVシリーズ)


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タグ:日記 語学 研究
posted by ダイスケ at 23:59| Comment(0) | 学習・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする