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■大学芋はなんで「大学芋」という名前?「大学」+「芋」=「大学芋」と単純にはいえない。そう考えると、ことばには不思議がいっぱい。「大学芋」をきっかけにことばについて考えるブログです!
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2014年03月31日

ウクライナ、ゆかり、品川

最近はウクライナについての報道が多いが、ウクライナ(Ukraine)は英語で発音すると、「ウクライナ」のような音にはならない。「ユクレイン」に近い音になるのだ(発音記号は/jukréɪn/)。"u"を「ウ」ではなく「ユ」のように発音している。基本的に単語の頭にuがあるとき、英語では基本的にuを「ウ」と発音しない。たとえば、usualやuseは「ユ」、upやuncleは「ア」のような音になる。

英語では語頭のuは「ウ」と読まないというのは、英文学の先生から聞いたのだが、そのときのエピソードがおもしろくて今でも覚えている。英文学の先生が語頭のuの話題を出したのは、イギリス人とのやりとりの話をしたときだった。その先生が日本好きのイギリス人とメールをしているときに、ご飯にかける紫色のものは何だという話になったらしい(マニアックな質問だ)。

紫色のごはんにかけるものとはゆかりのことだ。その先生は「ゆかり」をどのように綴るかを考えた。ローマ字通りに綴ればyukariとなるが、英語では語頭に「ユ」の音を出す場合、外来語を除けばyuではなくuを使うとわかっていたので、英語らしく綴るならukariのほうがいいのではないかと、その先生は気を遣ってそう綴った。

しかし、そのイギリス人は日本語のことをよくわかっていたのでukariをウカリと読んでしまい、デパートでゆかりを見つけることができなかったそうだ。ちなみに、イギリスにもゆかりを売っているところがあるらしい。

この話を聞いて思ったのは、ことばというのは、伝える相手に合わせて発信するべきものなんだということだ。日本のものを英語で伝える場合、一見すると日本語の音をアルファベットに機械的に置き換えるしかないように思えるが、相手の言語のことを考えればよりよい綴り方があるかもしれない。今回の場合、英文学の先生が先回りして考えたことでかえって誤解のもとになってしまったが、でもそうやって相手のことを思いやってことばを使うという姿勢は学びたいと思った。

品川という駅を外国語話者に伝えたい場合、shinagawaと書けばそれで通じるかもしれないが、相手がドイツ語話者の場合はschinagawaと書いたほうが親切かもしれない(英語のshの綴りで表される音は、ドイツ語ではschと綴られる)。だれにとっても最適な伝え方があるわけではなく、相手に応じたことばづかいをするというのは、何も特別なことを言っていないような気がするが、これが外国語になると案外忘れられてしまう。もちろん、いつでも適切なことばを選択できるほどこちらにその言語の運用能力があるとは限らないし、工夫した結果が裏目に出ることもあるかもしれないが、そういう気持ちがあるかどうかは大事なことだと思う。
posted by ダイスケ at 23:59| Comment(0) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする