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■大学芋はなんで「大学芋」という名前?「大学」+「芋」=「大学芋」と単純にはいえない。そう考えると、ことばには不思議がいっぱい。「大学芋」をきっかけにことばについて考えるブログです!
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2012年02月22日

システム英単語/刀祢雅彦・霜康司

以前、教育実習で母校に行ったときに授業をしたのが、高校2年生の英語でした。そのとき、学校指定教材のひとつが『システム英単語』(刀祢雅彦・霜康司著、駿台文庫)という単語集で、クラスでは毎週単語テストも行われていたのですが、生徒によっては単語の学習方法に困っているようだったので、以下のようなコラムを作って生徒に配布しました。

久しぶりに読み直してみて、『システム英単語』の紹介記事として、あるいは、英単語を覚えるときにどんなことに注意すればよいのかという話として役に立つかもしれないと思い、ブログに載せてみることにしました。もともとは高校生に向けて書いていますが、高校生以外の英語に興味がある方が読んでも得るものがあるように、少し手を加えました。やや長いので、さくっと読みたい方は補足の部分(*)は飛ばして読んでも大丈夫です。

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単語を覚えることの重要性
英語学習で大事なことのひとつは、単語を覚えることです。単語はわかっているけど文法が難しくて読めない英語の文というのはありますが、単語がわからなければ、文法の難しさに関係なく普通は意味がつかめません。

たとえば、長文を読んでいてHe apologized to his parents for the wrong he had caused them.(彼は自分が両親にかけた迷惑を詫びた。) という文が出てきたとします。このとき、apologize、causeといった単語がわからなければ、もうほとんどこの文の意味をつかむことができないでしょう。もちろん前後の文脈がヒントになって単語の意味がわかることもあります。しかし、それには前後の文の意味が理解できていなければならず、前後の文にも知らない単語がいくつもあるというのでは、文脈をヒントにするといった高度な能力を使うこともできません。

英語の難しさはまず未知の単語の数にあるのです。もちろん単語だけが英語の難しさではありませんが、単語を覚えることが英語学習の必要不可欠な要素であることには納得してもらえると思います。

文法は学校の授業でも扱われ注意が向けられるのに対して、単語はとにかく覚えろと言われるだけかもしれません。しかし、単語もただ訳を覚えるだけでなく、その使い方まで覚えることが重要です。ここでは単語の使い方で注意すべきものを3つ紹介します。

*補足 上記の例文では、causeが第4文型で用いられており、cause A Bは「AにBをもたらす」という意味です。ここでは、Bの名詞(直接目的語)が関係代名詞になっていてその上省略されています(先行詞はthe wrongで「迷惑」と訳されています)。themはhis parentsのことです。


単語の使い方(1) 動詞の文型
単語の使い方を覚えるというのは、どういうことでしょうか?まず、動詞についてみてみましょう。動詞の使い方で重要なのは、どの文型で使うかです。英語には5種類の文型があると習いますが、動詞によってどの文型で使えるかは異なります。

たとえば、causeは第3文型、第4文型、第5文型の3つの使い方があります。実際の文でどの文型として使われているのかはその都度判断しなければなりませんが、正しく判断するためにも、まずは単語の知識として3つの用法があることを知っている必要があります。

もしcauseを「引き起こす、もたらす」としか覚えていなかったら、He apologized to his parents for the wrong he had caused them.「彼は両親にそのまちがいを謝り、彼はそれらを引き起こした(?)」などと間違えてしまうかもしれません(第4文型で使うことを知っていれば、関係代名詞に気づきやすくなるでしょう)。

単語の使い方(2) 前置詞との組み合わせ
apologizeという動詞について考えてみます。例文は再びHe apologized to his parents for the wrong he had caused them.です。

apologizeをただ「謝る」とだけ覚えているとto…、for…がそれぞれ何を表しているかに気づくのに時間がかかる(あるいは最悪気づかない)可能性があります。長文を読むときに「このforは何だっけ?」といって時間を使うのはもったいないのです。apologizeは謝る相手をto…、謝る理由をfor…で表すと決まっています。それを覚えておけば、apologizeが出てきたときにto…やfor…の心構えができ、無駄な時間を使わずに読むことができます。そして、何より「He apologize to his parents ( ) the wrong. の空欄を埋めなさい」という問題が解けるようになります(こういう前置詞を問う問題も少なくありません)。grateful「感謝する」という形容詞のときも同様です。I’m most grateful to you for your advice.(ご忠告にとても感謝しています。)という文では、感謝する相手をto …、感謝する理由をfor…で表現しています。

いっしょに使われる前置詞がある場合、それも覚えることで、英文が読むスピードが上がり、英作文の正確さも期待できます。

*補足 なぜtoを用いるのか(たとえばwithではなくて)を説明するのは難しいことです。おそらく英語を日常的に使っている人に聞いてもうまく説明できないと思います。それは日本語では「ガラスつかむ」とは言うけれど「ガラス触れる」とは言わない(「ガラス触れる」と言う)のはなぜかを説明するようなものです。ぼくは大学では英語の前置詞や日本語の助詞の使い方も勉強しています(言語学という分野です)。


単語の使い方(3) その他の組み合わせ
severeとstrictはともに形容詞で「厳しい」と訳すことができます。しかし、天候を説明するときにはsevere(severe winter weather「厳しい冬の天候」)、規則を説明するときにはstrict(strict rules「厳しい規則」)を使います。同じ「厳しい」と訳されることばでも、意味の重点がちがうのです。単語を覚えるとき、どのようなことばと相性がよいかまで意識できるとなおよいという例です。

『システム英単語』を使おう
では、単語の使い方まで覚えるにはどうしたらよいでしょうか?それには、『システム英単語』が便利です!『システム英単語』は単語の使い方にまで配慮した非常に優れた単語集です。厳選されたフレーズ(ミニマルフレーズと呼ばれています)をそのまま覚えるだけで、上記の単語の使い方(1)-(3)の大部分をカバーできます。

また、覚えるべき単位としてコンパクトなフレーズを採用したことで、例文が難しすぎるということはありません(複雑な関係代名詞が出てきたり、例文中にさらに難しい単語が出てくるという心配は不要です)。実は、He apologized to his parents for the wrong he had caused them.というのは『英単語ターゲット1900』のapologizeの項目に出てくる例文です。apologizeを覚えるための例文としては、少し高度かもしれません。『システム英単語』では、apologizeを覚えるフレーズとして以下のものが挙げられています。

apologize to him for being late 遅れたことを彼に謝る

コンパクトでありながら、必要な情報はしっかりとフレーズの中に入っています。さらに、「[Q] I apologize him.はどこがいけない? [A] I apologize to him.が正しい。自動詞なので、人の前にtoが必要。」という補足情報も記載されています(『英単語ターゲット1900』には、文型や前置詞に関する情報は書かれていません)。先ほど紹介したsevereとstrictの例も、同じく『システム英単語』のものです。

*補足 実際の文章中には、He apologized to his parents for the wrong he had caused them.のような例も平気で出てくるので、そういう意味では『英単語ターゲット1900』は実践的です。ただ、そういう実践は長文を読むときにやることになるので、単語集という単語を覚えるための本では、『システム英単語』のようにシンプルな形で整理されている方が便利な気がします。もちろん『システム英単語』では足りない部分もあるので、そういう場合は辞書を引きましょう。辞書がいかに(1)-(3)の情報に紙面を割いているのかわかると思います。ためしに、causeについて一度英和辞典で確認してみてください。


『システム英単語』は、フレーズの質の高さ、収録語の数、レイアウトの良さ(豪華三色刷り)、補足情報の適切さのどれをとっても一番ではないかと思っています。実際ぼく自身も高校生のときに使っていました。

長々と説明してきましたが、単語を覚えるときに注意すべき単語の使い方と、『システム英単語』のよさが伝わればうれしく思います。

*補足 この記事を書いてから気づいたのですが、昨年出た『英単語ターゲット1900』の改訂版では、apologizeの例文はI do apologize for any inconvenience I have caused.に変わっていました。ただ、『英単語ターゲット1900』の基本姿勢(例文を実際に入試問題から選んで載せていることが多い)に関しては変わっていなかったため、今回の記事はそのままにしておきました。


システム英単語 (駿台受験シリーズ) [単行本]
刀祢 雅彦, 霜 康司 (著) 駿台文庫

システム英単語 (駿台受験シリーズ) [単行本] / 刀祢 雅彦, 霜 康司 (著); 駿台文庫 (刊)
posted by ダイスケ at 04:43| Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月10日

教職課程を履修するかどうか迷っている人へ

ぼくは大学の学部生のときに教職課程を履修し、教員免許を取りました。大学入学当初は履修を考えていなかったのですが、高校のときの先生に相談したり、自分自身の考えが変わったりして、履修することに。始めるのが遅れたために、いろいろと大変なところもありましたが、結果的には履修してよかったなと思っています。

卒業して大学院へ行ってから、後輩から教職課程を履修する人向けの冊子を作っているので、それに寄稿してほしいと言われ、以下のような原稿を書きました。基本的にはぼくの大学でのケースを想定して書いていますが、久しぶりに読み返してみて他大学の人にも当てはまるかなと思ったので、ブログに載せてみることにしました。教職課程を履修するかどうか迷っている人、あるいは、現在履修しているけれど継続するか迷っている人などの参考になれば幸いです。

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この冊子を読んでいる方は、当然ながら中学・高校の教員に興味があるのでしょう。ただ、実際には教員以外の職業も考えていたり、入学当初は教職課程を考えておらず出遅れてしまったため履修を迷っていたりするかもしれません。しかし、興味をもったならぜひ取り組んでいただきたいなと思います。

このように書くと、安易な気持ちで教職課程を履修することを促しているように思われるかもしれませんが、そうではありません。やるからには教員になってほしいと思います。将来教員になるという選択肢を積極的に選ぶためにも、まずは教職課程を履修し始め、途中でやめないことです。

教職課程は必要な単位の数も多く提出物の期限にも厳しいですが、途中で断念してしまう原因の一つは、むしろ「免許状を使わない職業に就くかもしれない」「がんばっても卒業までに取れないかもしれない」などの不安にあるのではないかと思います(逆に、やる気があれば単位や提出物はなんとかなります)。そのように迷ったために、授業に出なくなったり提出物の期限が過ぎてしまったりするのです。この場合、教員になる可能性は断たれてしまいます。

しかし、教職課程を通じて出会った仲間や教授の熱意、教育実習での経験によって、やはり自分がなりたいのは教員だと確信する人もいます。だから、最初に抱いた興味を信じてやってみてほしいと思います。その興味が確固とした決意に変わるまで教職課程を続けられることを願っています。

そして、最終的に教員にならなかったとしても、それはそれでよいと思います。介護等体験で身体的にも年齢的にも自分と異なる方々との交流を通して、コミュニケーションとは何かを考える。教育実習で先生方が陰で(かつての自分には見えなかった形で)いかに努力されているのかを知り、当時の先生に感謝をすると同時に仕事をすることの責任感を学ぶ。教育制度や教育現場のことを知ることで、将来子供ができて親になったときに、教育というサービスを受ける消費者という意識ではなく主体的に学校と関わっていける。それもまた素晴らしいことですから。
タグ:日記
posted by ダイスケ at 02:58| Comment(0) | 学習・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする