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■大学芋はなんで「大学芋」という名前?「大学」+「芋」=「大学芋」と単純にはいえない。そう考えると、ことばには不思議がいっぱい。「大学芋」をきっかけにことばについて考えるブログです!
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2011年06月29日

ジョナさん?

小学3年生くらいのころ、友達とちょっとした言い争いをしたことがある。それは、小学校の近くにあったファミリー・レストラン「ジョナサン」の表記についてだった。ぼくは「ジョナサン」と全部カタカナ表記だと言ったのだが、友達は「ジョナさん」、つまり「さん」はひらがな表記だと言い張った。結局、教室の中ではどっちが正しいのか決着はつかなかったが、後日ジョナサンを通りかかった時、自分の答えが正しかったことを確認したのだった。

その友達は「ジョナさん」という表記に自信満々だったのだが、間違えた気持もわからなくはない。この場合、「ジョナサン」はそれ自体単独の要素ではなく、「ジョナ」+「-さん」に分解されているのだが、「田中さん」「佐藤さん」の仲間として「ジョナさん」があってもいいような気もしてくる。ちなみに、「ジョナサン」の英語表記はJonathan'sで、ジョナサンという人の店ということなので、案外「ジョナさん」というのも、人を表している点では悪くない(?)のかもしれない。

さて、「ジョナさん」みたいに誤解する例はあまり多くないが、このような本来とは異なる分解の仕方が定着してしまうこともある。たとえば、英語のapron(エプロン)は、かつてはnapronという形だった。しかし、不定冠詞を伴ってa napronとして用いられたのが誤ってan apronと分解され、結局現在のapronという形になった。このような現象は異分析(metanalysis)と呼ばれている。

逆に、このような異分析をことば遊びとして効果的に利用する場合もある。「フランスパン」は「フランス」+「パン」に分解することができるが、/-pan/という音で終わる「ジャパン」はこれ以上分けることができない。このような音の同一性を利用したのが、「焼きたて!!ジャぱん」(少年サンデーに連載していた漫画)で、表記の点でもあえて「ぱん」をひらがなにしているのがおもしろい。

今回は、「ジョナサン」と「ジョナさん」の表記の話から始めたが、そもそも同じ/-san/という音で終わるかたまりが、「ジョナサン」のときはひとつの要素だったり、「田中さん」のときには二つの要素の足し算だったりするというのは、考えてみれば不思議なことだ。今でも友達とけんかをした日のことはけっこう鮮明に覚えているけど、これもことばの仕組みについて考え始めるきっかけになっているのかなと思う。
タグ:日本語 誤用
posted by ダイスケ at 01:52| Comment(0) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする