【ブログ紹介】
■大学芋はなんで「大学芋」という名前?「大学」+「芋」=「大学芋」と単純にはいえない。そう考えると、ことばには不思議がいっぱい。「大学芋」をきっかけにことばについて考えるブログです!
■はじめての方はこちらへ

2011年04月02日

Verbs and Times その1

今回は、以前サークルの読書会で使った文献の紹介。読んだのは以下の文献。
Vendler, Zeno. 1967. Linguistics in Philosophy. Cornell University Press.
これの第4章“Verbs and Times”を扱った。

本論文は、動詞が示す時間関係から動詞を4つに分類している。ここで重要なのは、動詞の分類基準が動詞そのものに備わっているわけではなく、その使用法にあるところだ。したがって、同じrunという動詞でも目的語の有無などによって分類され方が異なる。高校で「動作動詞」「状態動詞」という用語を習ったことのある人は、それをもっと踏み込んで考えたものだと思ってもらえればイメージはつかめると思う。なお、レジュメにまとめるにあたっては、内容を網羅するというよりは特に興味があることを中心に取捨選択をしたことをお断りしておきます。

*****

There are a few such schemata of very wide application. Once they have been discovered in some typical examples, they may be used as models of comparison in exploring and clarifying the behavior of any verb whatever. (p. 98)


動詞と時間(pp.97-98)
動詞には時制がある。これは、時間概念を考えることは動詞の使用法にも関わることを示している。時間の考察は過去、現在、未来といった明らかな区別に限ったことではない。時間の概念には、もっとつかみがたい別の依存関係がある。動詞には時間スキーマ(time schema)があり、それに注目することで、これまで不明瞭だったことが明らかになる。ここでは、時間スキーマという用語の使用を記述する方法を提案してみたい。

進行形による分類(pp.98-100)
まず必要なのは、英語の動詞が含意するもっとも一般的な時間スキーマを位置づけ、記述することである。はじめに、進行形になる動詞とならない動詞のちがいから手をつけることにする。What are you doing? の答えとして適切なのは、I am running (or writing, working, and so on)であり、I am knowing (or loving, recognizing, and so on)ではない。一方、Do you know…? Yes, I do. という問答は適切であるが、Do you run? Yes, I do.はそれには対応していない。

このちがいは次のことを示唆している。run、writeなどは時間内に進むプロセスであり、それらは時間内に次から次へと連続する段階性を構成している。実際、〈running走っている〉人は、ある瞬間に右足を上げ、次の瞬間にその足を下げ、それから左足を上げたのちにその足を下げている。しかし、knowなどの動詞は時間内に進むプロセスを表してはいない。I know geography now. といっても、〈know geography 地理を知る〉というプロセスが現在進行しているわけではない。

進行形になる動詞(pp.100-102)
まず、進行形になる動詞に焦点を当てよう。このグループはさらに二つに分けられる。ある人が〈running 走ってい〉たり〈pushing a cart カートを押してい〉たとして、次の瞬間にやめたとしてもその人はたしかに〈run走った〉、〈push a cartカートをした〉と言うことができる。その一方で、だれかが〈drawing a circle 円を描いてい〉たり、〈running a mile 1マイル走ってい〉たとしても、次の瞬間にやめてしまったら、〈draw a circle円を描いた〉、〈run a mile 1マイル走った〉とは言えない。つまり、runやpush a cartには終了点が設定されていないが、run a mileやdraw a circleには到達すべき終了点があるのである。

そう考えると、For how long did he push the cart? という質問は意味があるが、How long did it take to push the cart? というのはおかしい。これに対して、How long did it take to draw the circle? というのは適切な質問だが、For how long did he draw the circle? というのは奇妙である。対応する答えはHe was pushing it for half an hour. とIt took him twenty seconds to draw the circle. またはHe did it in twenty seconds.であって、その逆ではない。だれかが〈have been running for half an hour 30分間走っている〉としたら、それはその30分間のうちのどの間をとってもその人が〈have been running走っている〉といえる。しかし、〈have run a mile in four minutes 4分で1マイル走った〉としても、それはその人がその時間のどの間をとっても〈have run a mile 1マイル走った〉とはいえない。たしかにその人は〈running走ってい〉て、その4分という一続きの時間に〈run a mile 1マイル走る〉という行為に関わっているのだが。つまり、runやその仲間は、時間内に均質的に進行し、そのプロセスのどの部分も全体として等しい性質をもっている。一方、run a mileやwrite a letterは、終点に向かって進む。どうも終了点が鍵をにぎっているようだ。

これで、重要な動詞の種類の二つについて時間スキーマを見つけることができた。第一のタイプ、つまりrun、push a cartなどをactivity(活動) terms、第二のタイプ、つまりrun a mile、draw a circleなどをaccomplishment(達成) termsと呼ぼう。

進行形にならない動詞(pp. 102-103)
進行形にならない動詞に目を向けると、ここにも特別な違いを見ることができる。これらはプロセスではなく、ある主題がある時点で正しいかまちがいかを表している。ひとつは、一瞬の時間を表すもので、reach the hilltop、win the race、spot or recognize somethingなどがある。もうひとつは、短いか長いかの期間をあらわすもので、believe something、love or dominate somebodyなどがある。これらの適切な問いと答えは次のようになる。

At what time did you reach the top? At noon sharp.
At what moment did you spot the plane? At 10:53.

For how long did you love her? For three years.
How long did you believe in stork? Till I was seven.

第一のreach the topと同様のものをachievement(到達) terms、第二のloveに相当するものをstate(状態) termsと呼ぼう。Achievement(到達)は一瞬で起こるもので、state(状態)はある期間続くものである。
(以下の図は、本文をもとに自分で作成)
Verbs_and_times_1.jpg


関連記事:
Verbs and Times その2
Verbs and Times その3
posted by ダイスケ at 01:12| Comment(0) | 言語学の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする