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2011年02月13日

降らない雨はない?:「雨が降る」という表現の日英比較1

中学生のときに習う英語の表現で、おそらく多くの人が不思議だなと思うものの一つが、「雨が降る」に当たる表現だ。

(1)
a. 昨晩雨が降った。
b. It rained last night.

日本語の感覚からすると、なぜitが必要なのかと思うところだ。このitは天候を表すitだとか、高校ぐらいになると非人称のitなどと呼ばれる。いずれにせよ、正体のよくわからないitを使うのだ。

さて、さっきから不思議だと言ってきた英語の表現だが、実は日本語の「雨が降る」というのも考えてみれば、何か変ではないだろうか。試しに「雨」を『明鏡国語辞典』(大修館書店、2002)で引いてみよう。(2)に定義を引用しておく。

(2)空気中の水蒸気が冷えて雲となり、水滴となって空から降ってくるもの。

つまり、「雨」の中には「降る」の意味がすでに入っているように感じるのだ。「雨」が水滴の部分だけを指しているとすれば、その水滴が「降る」というのもおかしくないのだが、おそらく私たちは「雨」と「降る」を分離して考えてはいないと思う。降ってこない水滴のことは「雨」とは呼ばない。

でも、水滴が空から落ちてきていることはたしかなので、「雨る」(雨が降るという意味の動詞があるとしたらこんな感じか?)みたいな動詞を無理やりつくるよりは、「雨」の水滴の部分に着目して「降る」という動詞を使いたい気持ちもわかる。だから、これはこれでよい気もするし、「雨」と「降る」を分離させない(その代わりよくわからないitを使う)英語のほうが潔い(?)感じもする。
要するに、どちらの言語にもそれなりに理にかなった表現をしていると言えるだろう。

「雨が降る」ということを、それ以外の表現の仕方があるとは外国語でも学ばないとなかなか思いつかない。当たり前だと思っていたものが、案外当たり前じゃないかもしれないことに気づくのも外国語を学ぶ楽しみだなと思う。

続編:名詞を使うか、動詞を使うか:「雨が降る」という表現2
posted by ダイスケ at 23:53| Comment(0) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする