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■大学芋はなんで「大学芋」という名前?「大学」+「芋」=「大学芋」と単純にはいえない。そう考えると、ことばには不思議がいっぱい。「大学芋」をきっかけにことばについて考えるブログです!
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2010年11月30日

「男」と「男性」のちがい

テレビのニュース番組を見ていたら、アナウンサーが「被害者の男性は...」と言った後、「男は逃走し...」と言っているのに気づいた。「男性」と「男」が使い分けられていることが新鮮で、ニュースの内容よりそっちのほうが気になってしまった。

「男」と「男性」はともに性別がオスの人間を指し示している点は共通しており、言い換えが可能なケースもある。ただ、指し示すことができる範囲がおおむね同じだとしても、それに付与されるイメージは異なる。「男」よりも「男性」のほうが丁寧な表現で印象がよいと思う人が多いのではないだろうか。

そして、その印象のちがいが、事件の描写などで匿名の人間が二人(以上)登場する際に、指し示す人物のちがいとして顕在化するようだ。つまり、「男」が犯人・容疑者、「男性」が被害者・犯人を取り押さえたりといった協力者に対して用いられる傾向にある。実際にWebサイトからは以下の例が見つかった(Googleで[男 男性 ひったくり]で検索)。

(1)「ドロボー!捕まえて!」カバンをひったくられて、叫ぶ女性。女性の声を聞きつけ、通りすがりの男性がかけつけました。女性の視線の先には、カバンを抱えた男が走っています。男性は、その男を犯人と確信し「待て!」と一喝。犯人はおいつめられ、その場で逮捕されました。


(2)自転車で帰宅途中、後方からオートバイが近づき、運転していた男に、前カゴに入れていた手提げバッグをひったくられています。男性に怪我はありませんでした。


(3)南藤沢の路上で、買い物帰りの主婦の手提げバックの中から財布をひったくった男を逮捕しました。被害者の「泥棒」という叫び声を聞いた、付近通行中の男性2名が追いかけてこの男を捕まえ、110番通報で駆けつけた警察官に引き渡してくれました。(6月1日)


(1)と(3)では「男性」が逮捕協力者を、(2)では被害者を表している。「男」はいずれにおいても犯人を指している。他にもいくつか検索結果を見てみたが、基本的に同様であった。ただし、犯人しか登場しない場合は、その人物が(「男」ではなく)「男性」として表現されることもあるようだ。

普段何気なく使っている「男」と「男性」だが、事件の描写のように文脈が限定されるとはっきりした差が出てくる。このようなちがいは言語によっては表現ししづらい気がするし、調べてみるとおもしろいかもしれない。言語はおもしろいことだらけだなあとしみじみ思う。
posted by ダイスケ at 05:50| Comment(2) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする