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■大学芋はなんで「大学芋」という名前?「大学」+「芋」=「大学芋」と単純にはいえない。そう考えると、ことばには不思議がいっぱい。「大学芋」をきっかけにことばについて考えるブログです!
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2010年10月31日

ドイツ語不規則変化動詞の規則変化表

今回は完全にドイツ語学習者向け。
ドイツ語を勉強していて大変なことのひとつは、不規則変化動詞の数が多いことだろう。だが、よく見てみると、決して無秩序ではなくいくつかのパターンに分類できることに気づく。

不思議なことに、この分類は大学のドイツ語の授業では習わないし、参考書にも書いていないので、自力でやってみた。分類には数日かかったが、きれいに分類できて楽しかった。不規則変化の大部分がこれでカバーできるので、ドイツ語を勉強している方々の参考になれば幸いです!

強変化動詞A(過去基本形と過去分詞の幹母音が同じ)
■ei → ie → ie
〈具体例〉
bleib/en  blieb  ge/blieb/en
 とどまる
preis/en  pries  ge/pries/en
 称賛する
schreib/en  schrieb  ge/schrieb/en
 書く

〈その他〉
leihen scheinen schreien schweigen steigen treiben weisen 

■ei → i → i
〈具体例〉
beiß/en  biss  ge/biss/en
 噛む
greif/en  griff  ge/griff/en
 つかむ
schneid/en  schnitt  ge/schnitt/en
 切る

〈その他〉
gleichen leiden reißen reiten schreiten streichen streiten

〈コメント〉
このタイプの動詞は、f→ff、d→tt、ß→ss、t→ttのように子音もセットで変わることが多い。

■ie → o → o
〈具体例〉
flieg/en  flog  ge/flog/en
 飛ぶ
genieß/en  genoss  genoss/en
 楽しむ
schließ/en  schloss  ge/schloss/en
 閉じる

〈その他〉
biegen bieten fliehen flißen frieren gießen riechen schieben schießen schließen wiegen ziehen

〈コメント〉
このタイプの動詞も子音がß→ssのように変化する。ziehenに関してはzog、gezogenのようにh→gになるので注意。


強変化動詞B(不定形と過去分詞の幹母音が同じ)
■a → ie → a
〈具体例〉
fall/en  fiel  ge/fall/en
 落ちる
lass/en  ließ  ge/lass/en
 …させる
rat/en  riet  ge/rat/en
 助言する

〈その他〉
blassen braten schlafen

〈コメント〉
このタイプの動詞は、2人称・3人称単数の現在形で幹母音がa→äになる(fallen→fällt、lassen→lässtなど)。

■e → a → e
〈具体例〉
ess/en  aß  geg/ess/en
 食べる
geb/en  gab  ge/geb/en
 与える
les/en  las  ge/les/en
 読む

〈その他〉
fressen geschehen messen sehen treten vergessen

〈コメント〉
このタイプの動詞は、2人称・3人称単数の現在形で幹母音がe→iになる(essen→isst、geben→gibtなど)。ただし、lesenとsehenに関してはe→ieになる(lesen→liest、sehen→sieht)。また、ssがつく場合、過去形でのみßになる(essen→aß、messen→maßなど)。

■a → u → a
〈具体例〉
grab/en  grub  ge/grab/en
 掘る
lad/en  lud  ge/lad/en
 積む
schlag/en  schlug  ge/schlag/en
 打つ

〈その他〉
fahren schaffen tragen wachsen waschen

〈コメント〉
このタイプの動詞は、2人称・3人称単数の現在形で幹母音がa→äになる(graben→gräbt、laden→lädtなど)。


強変化動詞C(不定形、過去基本形、過去分詞の幹母音がそれぞれ異なる)
■e → a → o
〈具体例〉
brech/en  brach  ge/broch/en
 命じる
helf/en  half  ge/holf/en
 助ける
sprech/en  sprach  ge/sproch/en
 話す

〈その他〉
befehlen empfehlen gelten nehmen shelten erschrecken stechen stehlen sterben treffen verderben werben werfen

〈コメント〉
このタイプの動詞は、基本的に2人称・3人称単数の現在形で幹母音がe→iになる(brechen→bricht、helfen→hilftなど)。

■i → a → u
〈具体例〉
find/en  fand  ge/fund/en
 見つける
sing/en  sang  ge/sung/en
 歌う
trink/en  trank  ge/trunk/en
 飲む

〈その他〉
binden dringen gelingen klingen sinken springen zwingen


混合変化(過去基本形と過去分詞の幹母音が同じ)
■e → a → a
〈具体例〉
kenn/en  kann/te  ge/kann/t
 知っている
nenn/en  nann/te  ge/nann/t
 名づける
renn/en  rann/te  ge/rann/t
 駆ける

〈その他〉
brennen denken senden wenden
posted by ダイスケ at 02:22| Comment(12) | 学習・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月26日

グレーな文法

前々回の記事:日本語はあいまい?
前回の記事:「ご飯を食べたい」と「ご飯が食べたい」、「水を飲みたい」と「水が飲みたい」
新聞の売りは新鮮さだとしたら、1ヶ月以上も前の新聞記事について言及するのは野暮なことかもしれない。ただ、多くの人にとって当たり前のような存在であることばについて、わざわざあれこれ考えること自体がすでに野暮なことだとしたら、もはや気にすることでもないのかもしれない。

ということで、連載が終わってから、1ヶ月も経ってしまった「日本語のちから」(読売新聞朝刊)について前回の続きを書きます。

「ご飯を食べたい」とも「ご飯が食べたい」とも言うことができる。使い分けの法則性がわからず、あいまいなところが興味深い。前々回に紹介した芥川賞作家の楊逸(ヤン・イー)氏の記事にはそう書かれていた。

実は、楊逸氏の記事には、日本語検定の問題の紹介がセットになっていた。空欄を埋める正しいことばはどれかという問題である。ぼくにとって興味深かったのは、法則性がないという文章と、日本語の正誤を問う、つまり法則性に関わる(法則性がなければ正誤を問題にできない)文章が並んでいたことだ。

ここからわかることは、実は文法や語法というのは、正誤という形で白黒はっきりする場合と、グレーなものとに分かれるということだ。こういうときは、外国語の例を出したほうが分かりやすいかもしれない。

(1) John showed Mary a photo.
(2)John showed a photo to Mary.
(3)*John showed a photo Mary.

「ジョンがメアリーに写真を見せた」に当たる表現として、(1)と(2)は正しい英語だが、(3)は間違った英語とされる。(2)のto以外は同じ単語を用いているにもかかわらず、そのようなちがいが出る。これは正誤の問題。

一方で、(1)と(2)のちがいは、状況をより特定すると現れる(以下、詳しくは池上嘉彦『〈英文法〉を考える』を参照)。たとえば、両者の後に"... but she didn't see it because she was sleeping."と続けるとすると、(2)は自然だが、(1)は不自然になる。(1)のようにtoを伴わない形は、ジョンが見せた結果メアリーはそれを見たという意味合いが含まれる傾向にあるのに対して、(2)のようにtoを伴う形は、メアリーは見せるという行為の方向性を表すにとどまり、必ずしもメアリーが写真を見たということを意味しない。したがって、(1)はメアリーが見なかったという状況にはふさわしくないということになる。

ただし、(1)と(2)のちがいがいつも顕在化するとは限らない。たとえば、"I showed a picture to the man who sat next to me on the train.のような文では、(1)のような表現が選択できず(目的語が長くなりすぎる)、そのため両者の区別を表すことができない。このように、(3)が正誤の観点から白黒をはっきりさせることができる一方で、(1)と(2)のちがいはかなりグレーなものである。

同じように、「ご飯を食べたい」と「ご飯が食べたい」の「を」「が」にもちがいがあるのだといえるだろう。そこにもグレーな形での法則性は存在しており、場合によってそのちがいが顕在化するのである(前回の記事で見たように)。

ほとんどの人にとっては、文法といえば正誤が問えるようなものかもしれない。しかし、単純に正誤では片付かないが同じではないというものも、文法の一部であるはずだ。それは使い分けに気づいていないとしても、無秩序ではない。正誤はたしかに重要な側面ではあるが、ときとして息苦しい。グレーな文法は、なんだか人間らしさを感じられる部分のような気もする。

楊逸氏は「法則性がなくて、あいまいなところ」と表現しているが、「『を』と『が』はどういう場合に使い分けるのか」と言っているように、実際にはその微妙なちがいに興味をもっているのだといえる。英語の(1)のちがいがおもしろいと感じられたなら、同じように日本語にも興味をもってみませんか?

参考文献
池上嘉彦. 1995. 『〈英文法〉を考える』 ちくま学芸文庫.
posted by ダイスケ at 08:21| Comment(0) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする