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■大学芋はなんで「大学芋」という名前?「大学」+「芋」=「大学芋」と単純にはいえない。そう考えると、ことばには不思議がいっぱい。「大学芋」をきっかけにことばについて考えるブログです!
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2010年03月27日

目的語いろいろ ― 結果目的語の話1

前回の記事で、結果目的語について触れた。
あのときの自分、今の自分、これからの自分
今回から3回にわたって、さらに結果目的語の話をしよう。
ちなみに、これは卒論のテーマを決める過程に考えたものだ。

目的語といえば、多くは動詞が示す行為の対象であり、その行為によって何らかの影響を受ける。
「花瓶を割る」「ボールを蹴る」などの場合もそうである。
一方、「お弁当を作る」「家を建てる」といった場合、動詞の目的語は、行為の対象ではなく、行為の結果としてできるものである。
こうした目的語を結果目的語という。

「作る」や「建てる」のような動詞は結果目的語専用の動詞だが、2種類の目的語を両方取れる動詞も存在する。
国広哲弥『日本語の多義動詞』と以前紹介した『明鏡国語辞典』を見てみると、次のような例が見つかる。
(こういうとき、『明鏡』は非常に便利)

(1)沸かす
a. 水を沸かす
b. お湯を沸かす

(2)掘る
a. 地面を掘る
b. 穴を掘る

(3)焼く
a. 粘土を焼く
b. 茶碗を焼く

(4)折る
a. 紙を折る
b. 千羽鶴を折る

(5)炊く
a. 米を炊く
b. ご飯を炊く

(6)紡ぐ
a. 綿花を紡ぐ
b. 糸を紡ぐ

(7)煮る
a. 野菜を煮る
b. シチューを煮る

(1)から(7)までのbが結果目的語である。
aとbのちがいが顕著になるのは、次のような場合である。

(8)
a. 水をわかしたけど、わかなかったよ。
b. お湯をわかしたけど、わかなかったよ。
(池上嘉彦『〈英文法〉を考える』p. 147)


(8b)は前半で沸かした結果できる「お湯」をはっきりと示しているのに、後半でそれが否定されるために矛盾した印象を与えるが、(8a)はそれほどではないと感じないだろうか。
このように、bはaよりも行為の結果に着目した表現だといえる。
借りたのか、借りていないのか? ― 言語ごとの微妙なちがい」の記事も参照)

普段は意識しないが、私たちは表現したい内容に応じて巧みに目的語を使い分けているようだ。
次回に続く。
(参考文献は最後にまとめて)
続編:「お湯を沸かす」から「水を沸かす」へ ― 結果目的語の話2「紙を印刷する」ことはできるか? ― 結果目的語の話3
posted by ダイスケ at 03:13| Comment(0) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする