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■大学芋はなんで「大学芋」という名前?「大学」+「芋」=「大学芋」と単純にはいえない。そう考えると、ことばには不思議がいっぱい。「大学芋」をきっかけにことばについて考えるブログです!
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2009年07月26日

ゼロから始めるドイツ語チェックテスト

みなさんのドイツ語学習が数日、いや数ヶ月遅れたとしても、ドイツは魅力ある国として、また、ドイツ語はドイツの言語文化を伝えるすばらしい言語として、疑いもなく存在し続けるであろうからです。(p.3)
在間進.2004.『ゼロから始めるドイツ語チェックテスト』三修社.


良質なドイツ語の問題集。
文法の問題集であるが、提示された単語を用いてドイツ語作文をする問題がメイン(ほぼすべての問題に日本語訳あり)。
辞書を引かなければ進めないということはなく、ストレスなく解いていけると思う。
格変化は繰り返し書かせて定着させようとするのもよい。

同じ三修社から出ている『ゼロから始めるドイツ語』の問題集であるはずだが、文法項目の配列がちがったりしていて、あまり両者の対応を考えているとは思えない。
独立した問題集として考えよう。

中身の問題がよいのはもちろんだが、「はじめに」と「終わりに」に感動した。
ただの文法問題集ではなく、在間氏が温かいことばをかけて励ましてくれる。

最初に引用したのは、「はじめに」の一文だが、そう言ってもらえるとちょっと怠けても自分を責めずにがんばろうという気になる。
励まし上手のインストラクターというのは大事だなと思った。

文法学習は地味で、繰り返しやらないと身につかない。
文法なんてやらずに、会話によく出る表現をいくつか覚えるだけのような楽な方法に飛びつきたくなるかもしれない。
だが、在間氏は「覚えた文を単にそのまま繰り返すのであったならば、それはすでに他人の考えたことを単に繰り返していることに」なるという。
そして、最後の一言。

私たちにとって重要なことは、ドイツ語を話すことではなく、ドイツ語で話すことではないでしょうか。私たちがドイツ語に限らず外国語を学ぶ目的は、私たち独自の考えを当該の外国語で述べることだと思います。ドイツ語を使用する際も、私たちは私たち自身でありたいと思いませんか。みなさんも努力していろいろな文法規則を学んで来たわけですが、その目的は、ドイツ語を用いて自分の表現を作れるようになることにあるべきだと思います。独自の表現活動は、「文法規則」があるからこそ可能になるのです。(p.166)


ゼロから始めるドイツ語チェックテスト

ゼロから始めるドイツ語チェックテスト

  • 作者: 在間 進
  • 出版社/メーカー: 三修社
  • 発売日: 2004/02
  • メディア: 単行本


タグ:ドイツ語
posted by ダイスケ at 05:46| Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

丁寧さはどこからくるのか

前回前々回と敬語の話題が出てきたが、そもそも丁寧な表現はどのような原理に基づいているのか。

丁寧さを表す方法に、はっきりと指し示さず間接的に表現するというのがある。たとえば、人を指すとき「あの人」というより「あちらの方」というほうが丁寧に感じる。これは、直接「人」を指さずに人がいる「方向」を指す表現である。はっきりだれを指すか特定するより、方向に言及して間接的に示すと丁寧表現になるのだ。

似たような現象は、フランス語にも見られる。フランス語では、二人称代名詞(英語のyou)に単数形の"tu"と複数形の"vous"がある。後者の複数形は単数形の丁寧な表現(敬称)としても用いられる。複数形を使うと、話し相手を直接指すわけではなく、目の前の数人を指しているような感じになる。この間接性が丁寧さを生む。(ちなみに、これは言語学でよく出てくる話)

なお、ドイツ語では、二人称の敬称は三人称複数形(英語のthey)が使われる。これもだれを指しているのかはっきりさせない表現といえるだろう。間接的に示すことで丁寧さを表すというのは、いろんな言語で用いられる方法のようだ。

さて、前回の終わりに、「寝る」は尊敬語にすることができずに「休む」の尊敬語を代用すること、「行く」「来る」「いる」の尊敬語はどれも「いらっっしゃる」になってしまうことを取り上げた。

このように細かい区別をしないというのは、はっきり指し示すことを避けるという丁寧さを生み出す原理に従っているのではないだろうか。

ただし、次のような疑問もわく。なぜ古語では「寝る」の尊敬語として『大殿籠る』があったのに、現代語ではなくなったのか。なぜ「行く」「来る」のふたつだけならともかく、「いる」まで同じ形になったのか。

このように、一筋縄ではいかないのが言語の不思議なところであり、興味深いところ。ときどき思い出して考えてみることにします。
posted by ダイスケ at 02:37| Comment(0) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月13日

サンドイッチ構造から敬語を見る

前回はドイツ語の過去分詞と日本語の敬語の類似性の話(形の上では)。
今回は、敬語の話の続きをしたい。

日本語の敬語にサンドイッチ構造があるのは前回見た通り。
ただし、サンドイッチ構造が適用できない動詞もある。
話をわかりやすくするため、「お〜になる」の形だけを取り上げよう。

(1)
a. 見る → *お見になる
b. 着る → *お着になる
c. いる → *おいになる
d. 来る → *お来になる
(*は文法的に許されないものを指す)

(1)の共通点を見てみると、そのいずれもが2文字の動詞だとわかる。
そして、連用形をつくると1文字(音でいうと1音節)になってしまう。

そのように間に挟まれるものが1文字と短すぎる場合、サンドイッチはできないようだ。
では、(1)の動詞を敬語にするときはどうするかといえば、(2)のようになる。

(2)
a. 見る → ご覧になる
b. 着る → 召す、お召しになる
c. いる → いらっしゃる
d. 来る → いらっしゃる

つまり、規則的につくらずに、特別な形をとる。
このように、特別な敬語が存在する理由のひとつは、
サンドイッチ構造を当てはめられないときの代用なのだろう。
(もちろん、「言う」が「おっしゃる」になったり、「食べる」が「召し上がる」になったりと、サンドイッチ構造が当てはまるのに特殊な形をとるものもある)

ついでながら、「寝る」も「お寝になる」とはいえない。
この場合、「お休みになる」が使われる(「寝られる」とも言える)。
つまり、「休む」の尊敬語を代用しているのだが、そのおかげで両者を形の上で区別することはできない。
(実際には文脈があるので困らないだろうが)
さらに、「いる」「来る」「行く」は尊敬語にすると全部「いらっしゃる」になってしまう。

なぜ敬語にすると、細かい区別をしなくなってしまうのか。
それはまた今度取り上げたいと思います。

なお、「短い語の敬語は特殊なものを使う」というのは昨年度受講した講義「日本語文法」での雑談を参考にしています。
タグ:日本語 敬語
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2009年07月12日

似ている! ― ドイツ語の過去分詞と日本語の敬語のサンドイッチ構造

ドイツ語にも英語と同じように過去分詞はあるけれど、ドイツ語の過去分詞は英語とはちょっとちがう。

(1)ドイツ語の過去分詞のつくり方(規則変化動詞)
ge + 動詞(語幹) + t

英語が動詞の最後に-edをつけるのに対して、ドイツ語は頭にge-と後ろに-tというサンドイッチ構造をしている。
たとえば、こんな感じ。

(2)過去分詞の例
a. bauen 建てる → gebaut
b. kaufen 買う → gekauft
(bauenの語幹は bau なのでそれにge-と-tを加える)

このサンドイッチ構造を見ていて、ふと気づく。
あれ、日本語の敬語に似てる!
尊敬語と謙譲語のつくり方をみてみよう。

(3)尊敬語のつくり方
a. お + 動詞(連用形) + になる
b. お + 動詞(連用形) + なさる

(4)謙譲語のつくり方
お + 動詞(連用形) + する

一応例を出しておこう。
(5)尊敬語の例
a. 聞く → 聞きになる
b. 休む → 休みなさる

(6)謙譲語の例
誘う → 誘いする
(基本的に「連絡する」などの「漢字+する」は、「ご連絡なさる」のように頭に「お」ではなく「ご」をつける)
(ついでにいうと、「れる」「られる」をつけるなど、ほかのつくり方もある)

ということで、尊敬語も謙譲語もサンドイッチ構造でできている。
機能は全然ちがうけれどつくり方が似ている。
なんか親近感覚えませんか?

英語にはそういうのがないので、なんとも思ってなかったけど
サンドイッチ構造は動詞の変化形を生み出すには案外有効な手段なのかもしれない。
他の言語にもこういうサンドイッチ構造はありそうだ。

過去分詞ひとつとってもとても興味深い。
こんなことをしてるとドイツ語の勉強もなかなか前に進まない。
でも、日本語と似ている部分を発見してあれこれ考えたり、そういうことするのは至福の時間なんです(笑)。
posted by ダイスケ at 01:09| Comment(0) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月11日

応用言語学事典

本事典では、13分野から1535項目を取り上げてある。執筆者は290名に及び、文字通り応用言語学研究に関わる主要分野の研究者を動員して編集にあたっている。(p.i)
小池生夫ほか(編).2003.『応用言語学事典』研究社.


ついに買ってしまった、応用言語学事典!
定価11,550円!
古本屋で買ったのでそれよりは安かったけど、なかなかに大きな買い物をしたなあ。
約1000ページの迫力、写真で伝わるかな?
(参考までに横に文庫を置いてみた)
応用言語学事典

普段は文法についての本を読むことが多いし、卒論もそういう方向だけど、言語と社会の関係やコミュニケーションの分野はあまり知らないのでその対策に。
13分野もなくてもいいかなと思うけど、他にちょうど辞典もないので、思い切って買った。
これで、社会言語学でも困らないぞ!

事典の中身は、分野ごとに関連した用語が並んでいて、その分野を説明するための流れを重視したつくりになっている。
そのため、単に引くだけでなく、読んで楽しい事典となっている。
和文索引と欧文索引と両方ついているのもすばらしい。

それにしても執筆・編集に14年間というのに驚き。
そうした年月の成果を利用できるということに感謝です。

以前は先輩がこの事典を持っていると聞いて、「個人所有するものじゃないでしょ」と思っていたが、自分もその仲間入りか。

さあ、せっかく買ったんだし、元取れるようにがんばります!

応用言語学事典

応用言語学事典

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 研究社
  • 発売日: 2003/04/28
  • メディア: 単行本


タグ:辞書・事典
posted by ダイスケ at 18:32| Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月06日

世界の言語入門

それほど多様な世界の言語について、たった一人で考えようというのだから、どうがんばってもエッセイにしかならない。だったら、言語学的な難しい記述ではなく、楽しく読みやすい物語を目指そう。(p.4)

黒田龍之助. 2008. 『世界の言語入門』 講談社現代新書.


世界には3,000とか5,000とか、人によってはもっとたくさんの言語があるという。
この本は、そんなにたくさんの中から著者の独断で選んだ90言語について、2ページに1言語ずつアイウエオ順に紹介していく。
上に引用したのは「はじめに」の一文。
もう、これを読んで買うしかないと思った。
だって、無謀すぎる(笑)。その無謀っぷりを見てみたくて。

本の内容としては、決して詳しいものではなく、ただの思い出話しか書いていない言語もある(セルビア語とか)。
でも、そもそもエッセイだからそれでいいと思う。

さて、自分自身も最近はドイツ語やそれ以外の言語に接する機会があるが、いろんな言語に触れるっていうのは楽しいことだ。

中学で英語を習いbrotherという語を知ったとき、英語では兄と弟を区別しないことを知って驚いた人は多いだろう。
(「兄」をone's big brotherと言うなど、区別できないわけではないが)
言語によってものの見方はちがうんだなと感じる瞬間だ。

その後、英語の学習が進むにつれ、3人称や現在完了など日本語とちがう面がどんどん出てくるが、勉強が大変でいちいち新鮮には驚く余裕がなくなってしまう人が多いのかもしれない。
とりあえず、そういうものだと思っておかないと先に進めない。

自分はそういうところにいちいち「なんでだろう?」と疑問を抱いてきたように思う。
現在形が表す「現在」ってそもそもいつのことだ?
辞書には前置詞forにいくつもの項目があるけど、なんでいっぱ意味があるんだ?などなど。

もちろん、考えてもよくわからない。
でも、考えずにはいられなかった。どうにも気になる。
Brotherのときの感動をいつまでも忘れられないとでも言おうか。
大学で言語学を勉強することになったのもそのおかげだ。

もちろん今でもわからないことだらけ。
でも、わからないことは悪いことではなくて、それだけ考える楽しみがあるってことでもある。
外国語にはその外国語なりの新しいものの見方があるし、他の言語との意外な共通性が見つかることもある。
それは、外国語を学べば学ぶほど、考える楽しみが増えるってことではないだろうか。
この本を読んで、そんな気持ちが強まった。

自分の意志というより強制的にやらせれることも多い外国語学習(特に英語)。
でも、言語が人間にしかないものなら、母語のほかに外国語を学ぶのも人間だけに許された娯楽なのかもしれない。

世界の言語入門 (講談社現代新書)

世界の言語入門 (講談社現代新書)

  • 作者: 黒田 龍之助
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/09/19
  • メディア: 新書



タグ:新書
posted by ダイスケ at 01:44| Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする