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■大学芋はなんで「大学芋」という名前?「大学」+「芋」=「大学芋」と単純にはいえない。そう考えると、ことばには不思議がいっぱい。「大学芋」をきっかけにことばについて考えるブログです!
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2017年06月04日

調理表現をコーパスで調べる

「玉ねぎをみじん切りにする」「芋をふかす(蒸かす)」「トマトを湯むきする」など、料理を作る際はその手順に応じて様々な表現が用いられます。それでは、調味料に関する表現はどうでしょうか。私がすぐに思い浮かんだのは「塩をふる」や「こしょうをかける」などでしたが、ほかにはどんな表現を使うでしょうか。

これを調べるためにコーパスというデータベースを使うのが便利です。コーパスとは、様々なジャンルの書籍や雑誌など(話し言葉を録音し書き起こしたものも含む)を電子化し検索できるようにしたもので、これによりたくさんの用例を収集・分析できます。

ためしに「現代日本語書き言葉均衡コーパス」というコーパスで「塩」や「こしょう」といっしょに使われる動詞を検索したところ、「ふる」や「かける」はもちろんですが、「調える(ととのえる)」も多く見つかりました。「調える」単独で見ると変な気がするかもしれませんが、「塩・こしょうで味を調える」のような表現を見ればピンとくるのではないでしょうか。そもそも「調味料」という言葉は「味を調える」と書くことを考えれば納得ですね。

このように、頭で考えてもすぐに思い浮かばない、でも実際にはよく使われているという表現を見つけることができるのがコーパスの利点ですね。ほかにどんな表現が使われているか、今度レシピを見たり料理番組を見たりするときに気にしてみてください。
ラベル:日本語
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2017年02月14日

複合動詞と「照る」

「光る」と「輝く」を組み合わせると「光り輝く」という表現ができる。このような「動詞+動詞」の表現は、言語学では複合動詞と呼ばれている。「投げ入れる、飛び越える」など、日本語では複合動詞を使う機会が多い。

ここで、「照り〜」という複合動詞について考えてみよう。「照りつける」「照り返す」「照り注ぐ」などの表現がある。「照り〜」という表現は問題なく見つかる一方、「照る」を単独の動詞として使う機会はあまりない。「太陽が照りつける」とは言っても、「太陽が照る」などとは普通言わない。どうやら「照る」の使用範囲はほとんど複合動詞に限られているようだ。以前「変哲」が「何の変哲もない」というフレーズでしか使わず、「変哲」単独の意味も説明しづらいという話をたことがあるが、「照る」自体の意味はわかるのに、「照り〜」の形でなければ使われることが実質的にないとすると、言葉の組み合わせは意外と不自由で、おもしろいなと思う。

ちなみに、「照り〜」の表現のうち、一番使われているのは「照り焼き」かもしれない。「照り焼く」とは言わないので、先に挙げた複合動詞の一種とは分類されないだろうが、「照り焼き」という形で定着しているということ自体もおもしろいなと思う。最近は海外でも「照り焼き味」は人気のようで、“teriyaki recipe”などと検索すればたくさんのウェブサイトがヒットする。もともとは食材の表面にツヤ、つまり「照り」ができるような焼き方という意味で、そのこと自体は日本人ですら普段は意識しないが、海外ではなおさらだろう。日本に入ってきた外国の調理法もその名前を知って驚くというのがきっとあるんだろうなと思った。

関連記事
「何の変哲もない」の「変哲」って?
ラベル:日本語
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2017年01月30日

文法・語法の小窓1:cutの使い方

以下の二つの英文を日本語に直すと、どうなるでしょうか。

(1) I cut my finger on the broken glass.

(2) The cut on his hand goes very deep.


*****


cutは日本語でいうと「切る」という意味ですが、「(意図的に)切る」場合だけでなく、「(うっかり)切り傷をつくる」という場合にも用います。(1) は後者の意味で用いられると考えるのがいいでしょう。日本語でも「昨日夕飯を作っているときに指を切ってしまった」と言えば、「切る」が「切り傷をつくる」という意味で使われていることからわかるように、その二つの用法がありますね。そのため、(1) を訳す場合にはあまり気にしなくてもいいかもしれません。ただ、実際に英語を使う際にパッと口から出てくるようにするためにも、cutに「切り傷をつくる」という意味があること自体を覚えておくのは大事なことだと思います。

なお、I cut myselfやI cut my fingerのcutを「意図的に切る」という意味で取ることも可能ではあります(実際には迷うような文脈はあまりないかもしれませんが)。ただし、目的語が再帰代名詞か身体部位 名詞の場合は「切り傷をつくる」という意味で用いられていることが多いと言ってよいでしょう。ただし、次の例のように意図的に切るのが自然な解釈の場合もあります。

(3) John cut his nails with nail-clippers.

次に、(2) を見てみましょう。このcutは動詞ではなく名詞です。この場合は「切り傷」という意味で用いられています。つまり、cutは「切る傷をつくる」という動詞として用いる場合 (1) と、結果としてできる傷という名詞を表す場合 (2) があるのです。

このような二つの用法をもつ動詞として、ほかにbruise(打撲傷をつける/打撲)、scratch(ひっかき傷をつくる/ひっかき傷)、sprain(捻挫する/捻挫)などがあります。

というわけで、(1) と (2) は以下のような日本語に直すことができます。

(1) ガラスの破片で指を切った
(2) 彼の手の切り傷はとても深い。

なお、(1) は『ウィズダム和英辞典』から、(2) は『ウィズダム英和辞典』から取っています。(3) は小西友七編『英語基本動詞辞典』から。『英語基本動詞辞典』は英語の動詞を研究する際には重宝します。
ラベル:英語 語学
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2016年08月31日

夏期講座参加

今月は、日本言語学会の夏期講座に参加してきました。日本言語学会は年2回全国大会を行うだけでなく、2年に1回夏期講座というのもやっています。一種の集中講義のようなものですね。最大で4種類の講義を受けることができ、自分が所属する大学では受けることができないような講義に出たり、自分が普段から勉強している分野の理解をさらに深めたりすることができます。秋の学期が始まるのがすぐだったこともあり少し忙しかったので今回は3種類の講義に出たのですが、どれも興味深く、よい刺激になりました。

そして、日本全国から受講生が来ているので、いろいろな出会いがあることも魅力です。自分の場合、4年前に行われた夏期講座にも出ているのですが、そのときに知り合った人とその後いっしょに勉強会をするようになったりしているので、こういう出会いって大事ですね。今回も今後につながる交流のきっかけができてよかったなと思っています。

夏期講座はまた2年後に行われるとのことですが、そのときもまた参加できるといいなと思います。
ラベル:日記
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2016年07月31日

3度目のイギリス

7月はイギリスで行われた学会に参加してきました。今年は何らかの形で海外の学会で発表しようと思っていて、ブラジルだったりポーランドだったりで行われる学会も候補として考えていたんですが、英語圏に行きたい、特にすでに2回行ったことのあるイギリスにまた行きたいなという思いもあり、イギリスの学会に申し込んだのでした。発表はそれなりにちゃんとできたのではないかなと思いますし、観光も少しはできました。何より、病気とか盗難とかのトラブルがなく帰ってこれてよかったです。昨年はフライトキャンセルなどいろいろとあったので、何もなく帰国できるのが一番だなとホッとしました。
ラベル:日記
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2016年06月30日

授業のはじめに文法・語法の確認

大学で英語を教えて3年目です。うまくできていないなと反省することも多いですが、できる範囲で工夫を取り入れていと思っています。

自分の場合、教科書を使用しないでウェブ上の動画や音声を教材にしているのですが、最近は授業のはじめに文法や語法を確認する問題を取り入れることにしました。そこで確認した文法事項や語句がその後の教材に出てくるような構成にしています。文法・語法の問題だけやると、ただ覚えるだけという気持ちになっていまうかもしれませんし、かといってリスニングに集中するとそこで出てきた表現はさらっと確認して終わりになったりする可能性もありますし、あまり内容理解の最中に細かい文法・語法の説明を聞く気にならないかもしれないと思ったので。最初に文法・語法問題をやると、その回でここは押さえておかないといけない箇所だと集中しやすいかなと考えました。

教材の中からどの部分を文法・語法問題として取り出すか、そしてそれをどう説明するかという部分は、自分が学んできた言語学・英語学が生きているなと思います。自分にとっては英語を学ぶこと、教えること、そして言語学の3つが有機的に結びついているなと感じました。場合によっては、授業で話したことをもとにブログの記事を書いてもいいんじゃないかなと思ったので、近いうちに何か書くかもしれません。
ラベル:英語教育
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2016年05月31日

自分で名刺を作ることのすすめ

わりと毎年自分の所属に何らかの変更があるので(非常勤講師としての所属や研究員の所属)、名刺は業者に頼まずに、自分で作っています。業者に頼んでも配り終わる前にまた所属に変更があったりするので。パソコンでデザインして、プリンタで印刷するのですが、こうすると少量ずつ作れるし、レイアウトも自分の好きなようにできるので、なかなかいい感じです。

名刺の紙は100円ショップでも売っていたりしますが、やはりもう少しちゃんとしたものを買った方がいいものが作れますね。使用しているのは「エーワン マルチカード 名刺 クリアエッジ 厚口 100枚分」というもので、きれいに印刷できるし、紙の厚みもしっかりしているので、自宅で作っているようには見えないんじゃないでしょうか。価格も手頃なのがうれいしい。

エーワン マルチカード 名刺 クリアエッジ 厚口 100枚分 51421 -
エーワン マルチカード 名刺 クリアエッジ 厚口 100枚分

名刺を自分で作ると、自分がやっている研究分野を書き加えてみたりと、自分の所属以外の情報も入れることができるのもいいなと思っています。なかなか所属する大学の研究科や専攻の名前だけだと、何をやっているのか相手に伝わらなかったり、覚えてもらえなかったりすると思うので。また、名刺を渡したときに、そこに書いてあることをきっかけで会話の糸口が見つかるようなこともあります。

大学院生になったばかりでまだ名刺をもっていないけれども業者に頼むほどではない気がしている人などの最初の名刺としてもいいのではないかなと思います。
ラベル:日記
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2016年04月24日

英語の接頭辞over-:現象と文献の紹介

英語の前置詞overには多数の研究がある。その理由の一つは、overに実にたくさんの用法があるからである。たとえば、She walked over the bridge.のoverは歩くという行為の経路を表現するために用いられているし、She has a strange power over me.ではある種の支配力を表す表現でoverが使われている。overの持つ多様な意味をどのように関連づけるかをめぐって、特に認知言語学という分野で盛んに研究が行われてきた。

さて、overには前置詞だけでなく接頭辞の用法もある。接頭辞over-は名詞・動詞・形容詞のいずれにも付加されることがある。接頭辞として用いるときには、主に「上に」という空間的意味を表す場合と「〜すぎる」という超過の意味を表す場合とがある。

(1) overcoat(外套(がいとう)、オーバーコート):名詞に付加
(2) overfly(飛び越す):動詞に付加
(3) overripe(熟しすぎた):形容詞に付加

その中でも動詞接頭辞については、もとの動詞とover-が付加された動詞の間で目的語の選択などに違いが見られることがあり、関心がもたれてきた。

(4) overbuild the city(都市に(建物を)建てすぎる)cf. build houses
(5) overheat the room(部屋を暖めすぎる)cf. heat the room

(4) に見るように、buildが建物を目的語に取るのに対して、overbuildでは場所が目的語になっている。(5) ではheatもoverheatも同じ目的語を取っている。いつでも目的語が変わるわけではないし、また動詞によってはover-がつくことで他動詞から自動詞になるものもある(overeatなど)。このあたりの実態の解明も理論的な説明も、まだまだ十分ではないと言える。

接頭辞over-の研究としては以下のようなものがある。

■Brugman, Claudia M. 1981. The Story of Over: Polysemy, Semantics and the Structure of the Lexicon. M.A. Thesis, University of California, Berkeley. Published from New York/ London: Garland Press in 1988.
■Bauer, Laurie, Rochelle Lieber and Ingo Plag. 2013. The Oxford Reference Guide to English Morphology. Oxford: Oxford University Press.
■堀内ふみ野・野中大輔. 2016. 動詞接頭辞over-/under-の非対称性とその動機づけ: 認知主体の捉え方と項構造. 『日本認知言語学会論文集』 16, 66-78.
■Iwata, Seizi. 2004. Over-prefixation: A lexical constructional approach. English Language and Linguistics 8, 239-292.
■影山太郎・由本陽子. 1997.『語形成と概念構造』 東京: 研究社.
■Lakoff, Goerge. 1987. Women, Fire, and Dangerous Things: What Categories Reveal about the Mind. Chicago: University of Chicago Press.
■Lieber, Rochelle. 2004. Morphology and Lexical Semantics. Cambridge: Cambridge University Press.
■Lindstromberg, Seth. 2010. English Prepositions Explained. John Benjamins.
■西川盛雄. 2013. 『英語接辞の魅力: 語彙力を高める単語のメカニズム』 東京: 開拓社.
■野中大輔・堀内ふみ野. 2016. underestimateとは言ってもunderheat とは言わないのはなぜか: 動詞接頭辞over-とunder-の対比から. 『日本言語学会第152 回大会予稿集』 192-197.
■Tyler, Andrea and Vyvyan Evans. 2003. The Semantics of English Prepositions: Spatial Scenes, Embodied Meaning, and Cognition. Cambridge: Cambridge University Press.
■Yumoto, Yoko. 1997. Verbal prefixation on the level of semantic structure. In Taro Kageyama. (ed.), Verb Semantics and Syntactic Structure, 177-204. Tokyo: Kurosio Publishers.
■由本陽子. 2001. 複雑述語の形成. 影山太郎(編). 『日英対照 動詞の意味と構文』 269-296. 東京: 大修館書店.
■由本陽子. 2011. 『レキシコンに潜む文法とダイナミズム』 東京: 開拓社.

上記の研究は、大まかに前置詞overを分析する過程で接頭辞over-に触れている研究(e.g. Brugman 1981; Lakoff 1987; Tyler and Evans 2003)と動詞に付加された場合を扱う研究(e.g. 影山・由本 1997; Yumoto 1997; Iwata 2004; 堀内・野中 to appear)に分けることができる。また、Bauer et al. (2013) は英語の形態論全般として便利で、接頭辞の一つとしてover-についても言及がある。今後も関連文献が見つかったら追加していく予定。なお、例文(4)と(5)は影山・由本 (1997: 91-92) をもとにしている。

over-は実に多くの語に付加されるので、辞書を眺めてどんな意味になるか予想したり、実際に英文を読みながらこんな使い方もするのかと発見していくのも楽しい。

追記
文献を追加(2016/08/30)

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posted by ダイスケ at 17:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 言語学の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月31日

年度の終わりに

年度末ということで、この一年間でやったことをまとめて報告したりする機会があります。昨年度は参加できてよかった授業があって、授業の成果を学会のワークショップで発表できたのはとてもありがたかったなと思っています。今まで手薄だったことを勉強したり、新しいことへのチャレンジは思ったほどできなかったけど、イギリスに行けたし今後につなげるきっかけは得られた部分もあるかな。4月からの年度では、少なくとも英語の部分はもっともっとブラッシュアップしてきたいと思います。そろそろ学生として在籍するのも終わりするつもりなので、今のうちにできることはしておきたいと思います。

そういえば、ブログの閲覧もここ数年でスマートフォンからのものが増えたのですが、あまりスマートフォン用のカスタマイズがちゃんとできてないなあと思います。そもそも更新もそれほどできてないのですが、できればもう少しやっていきたいです。
ラベル:日記
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2016年02月29日

ブログをやっていてよかったこと

先月でちょうどブログを始めて7年、今月から8年目に入る。

ブログをやっていて思うのは、ときとして、ブログで書いたことが何気ない会話のときに役に立つことがある、ということだ。何気ない会話と言ってもある程度言語や英語学習に関する話をするときだが、そういうときに、相手の言ったことを受けて、似たような例があるよ、こういうのとも関連しているね、などとブログで書いたことを伝えたりすることができる。その場ではじめて考えるのは大変でも、一度ブログに文章としてまとめたことは自分の会話の引き出しとなってしっかりと残っているので、わりと瞬時にそれを引っ張り出せる。そういうときには、ブログは会話のネタ帳をウェブ上で公開しているようなものかもしれないなあなんて思ったりする。会話のあとに、ブログでこういう記事を書いたことがあるので、よかったら読んでみてねと言って、あとからURLを相手に送ることもできる。

普段の会話の場合はたまたまだが、英語の授業をやるときなどは意識的にブログに書いたようなことから話題を選んで話をすることもあるので、よく考えるとネタ帳という側面は思ったよりも強いかもしれない。人に見せることを意識することで、単にノートにメモするよりもちゃんと考えるきっかけになるし、ブログをやっていてよかったなあと思う。
ラベル:日記
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